名古屋市南区にて築年数経過の屋根リフォーム!瓦固定の要、桟木打ち付けと瓦上げ作業を解説

屋根の補強で取り付けた野地板合板の上に桟木を打ち瓦を必要な分上げ越します

取付けた合板の上から防水紙を貼ります

名古屋市南区にて、屋根瓦の沈下により雨漏りが発生していた屋根のリフォーム工事の様子をご紹介いたします。
前回の現場ブログでは、屋根の沈下によって足場が不安定になっていた箇所に、新しい合板を貼り付けることで屋根全体を補強し、作業員が安全に歩けるようになった状況をご報告いたしました。
今回の現場ブログでは、その補強された屋根の下地、すなわち防水紙(ルーフィング)の上に、屋根瓦を施工するための重要な部材である【桟木(さんぎ)】を屋根全体に取り付けていく作業の様子をお伝えいたします。

瓦を施工するための桟木を屋根全体に取り付けます

屋根全体に規定寸法で桟木を打って行きます

屋根リフォームの工程をご紹介いたします。前日までの作業では、屋根全体に防水紙(ルーフィング)の貼り付けを行いました。
今回は、そのルーフィングの上に、新しい屋根瓦をしっかりと固定するための木材、桟木(さんぎ)を均等に配置し、取り付けていく作業についてご説明いたします。
約30年前の屋根工事では、屋根の下地(野地)と屋根瓦の間に、接着剤としての役割も果たす特殊な土(屋根土)を用いる工法が一般的でした。
しかし、屋根が重くなる、経年によって粘着力が低下するなどのデメリットが多いため、現在では屋根に固定用の木材【桟木】を取り付ける工法が主流となっています。
この工法では屋根土を使用しません。
※ 屋根の勾配が急な場合や特殊な施工が必要な場合には、桟木と屋根土を併用するハイブリッド工法が用いられることもありますが、一般住宅ではあまり見られません。

桟木に使用する木材は、15mm×28mmの屋根工事専用サイズのもの(樹脂製もあります)や、胴縁サイズである18mm×45mmなどの材料が用いられます。
必ずこれらのサイズでなければならないというわけではありませんが、屋根瓦がしっかりと引っ掛け止めでき、瓦の釘穴から打ち込む釘が確実に固定できる状態であれば、サイズに関する問題は特にありません。

ルーフィングの上に、屋根瓦の施工に不可欠な【桟木(さんぎ)】を、屋根全体に定められた寸法で取り付けていきます。
この定められた寸法とは、屋根の先端部分である軒先部から、屋根の頂点である大棟部までの距離を、既定の数値を基に割り出した寸法です。
基本となる数値や定められた寸法については、専門的な内容に偏ってしまうため、ここでは具体的な数値の記載は割愛させていただきます。

屋根の躯体自体が沈下していました

赤丸で囲んだ範囲の屋根が、下方向に沈下している状態でした。
屋根瓦などの撤去作業中に確認したところ、屋根の躯体構造を支える重要な部材である母屋が、長年の雨漏りを原因として腐食し、折れてしまっていることが判明いたしました。

そこで、代替となる材料を用いて補強工事を行い、写真のような状態まで屋根を持ち上げ、元の状態に近づけることができました。
これ以上の持ち上げは構造上不可能であったため、次の工程である【桟木(さんぎ)】の取り付けに際し、不陸調整材を使用して防水紙(ルーフィング)と【桟木(さんぎ)】の間に生じる段差を調整しながら、【桟木(さんぎ)】を打ち付けていく作業を行いました。

【桟木(さんぎ)】の固定方法ですが、屋根の躯体である垂木の位置に合わせて、白いテープを屋根の頂点部分(大棟部)から屋根の先端部分(軒先部)に向かって、縦方向に貼り付けていきます。
この白いテープは、桟木を取り付ける位置を示す目印となります。

そして、【桟木(さんぎ)】と白いテープが重なる箇所を、専用の釘で固定していきます。
これにより、桟木が垂木にしっかりと固定され、屋根瓦を安定して支えることができるようになります。

屋根と建物の構造の組み立て方

屋根の躯体を構成する重要な部材である母屋と垂木についてご説明いたします。
こちらが基本的な建物の躯体構造を示しています。
屋根に対して水平方向に取り付けられている部材が【母屋(もや)】、垂直方向に取り付けられている部材が【垂木(たるき)】となります。
さらに詳しく、写真を用いてご説明いたします。

屋根の部分の躯体の説明

屋根の構造において、非常に重要な部材である母屋と垂木について、写真を用いてご説明いたします。
写真の中で赤矢印で示した、屋根の構造の中で横方向に配置されている部材が【母屋(もや)】と呼ばれる部分です。
そして、その【母屋(もや)】の上に載るように、縦方向に取り付けられているのが【垂木(たるき)】と呼ばれる屋根材です(緑矢印)。
これらは、建物の屋根を構成する上で、非常に重要な役割を担う部分と言えます。
この【垂木(たるき)】の上から、野地板や野地合板を取り付けることで、屋根の基盤が形成されます。

先ほどお話しした通り、屋根が沈下していた原因は、長年放置されていた雨漏りによって【垂木(たるき)】と【母屋(もや)】が腐食し、複数の【垂木(たるき)】と【母屋(もや)】の一部が折れてしまっていたことでした。
そのため、【母屋(もや)】には新しい木材で補強作業を行い、周辺の複数箇所で折れかかっていた【垂木(たるき)】も同様に補強いたしました。
その後、野地合板を取り付け、屋根の形を復元いたしました。

新しい瓦を屋根に上げ越します

屋根の工事をする日知たちの専用のハシゴになります

屋根工事では、専用の機械である『屋根材荷揚げ機』を使用して、新しく入荷した屋根瓦を屋根上へと運び上げる作業を行います。
この『屋根材荷揚げ機』は、梯子部分が約3mの長さで、一本単位で使用され、必要に応じて複数の梯子を連結することが可能です。
連結された梯子は、屋根の軒先部などを乗り越え、屋根上まで屋根材を安全に運び込める構造となっています。
運搬部分の動作方法としましては、電気モーターでワイヤーを巻き上げ、運搬台を昇降させる仕組みとなっています。

屋根上に必要な枚数の瓦を上げ越しておきます

屋根瓦の施工をスムーズに進めるため、結束された状態の屋根瓦を、屋根上に均等に配置しておく作業を行います。
これにより、作業中に瓦が手元に届きやすくなり、効率的に作業を進めることができます。
屋根瓦の均等な配置におけるサイズ寸法ですが、「これ!」といった明確に定められた寸法はありません。
これは、長年にわたり屋根瓦の施工に携わってきた職人の経験に基づいて、作業時に手が届きやすい範囲を考慮して配置されるためです。
つまり、職人の経験と判断によって、最適な配置間隔が決定されると言えるでしょう。

軒先に使う専用の瓦も先に屋根の上に上げ越します

屋根の先端部分、すなわち軒先部分においても、取り付け作業時に手が届きやすい範囲に、結束された軒先瓦を配置しておきます。
こちらも、職人の経験に基づいた間隔で配置されます。
写真では、屋根上に運び上げられた屋根瓦が多すぎるように見えるかもしれませんが、実際にはこれでまだ少し足りない状態です。
不足分の屋根瓦は敷地内に保管してありますので、屋根瓦の施工を進めていき、終盤で不足する枚数を屋根上へ運び上げるという段取りで作業を進めてまいります。
とりあえず、使用するであろう枚数の屋根瓦を屋根上に運び上げました。

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