「瓦がズレているのかも?」お客様の予感を裏切る意外な真実

名古屋市昭和区にお住まいのお客様より、「雨漏りが止まらないので見てほしい」とのご依頼をいただき、現地へ駆けつけました。
築年数を重ねた日本家屋にお住まいのお客様は、「きっと古い瓦屋根が原因だろう」と予想されていました。
確かに、瓦のズレや割れは雨漏りの代表的な原因です。
しかし、私たちは家全体の構造と水の流れを見るまで、決して決めつけることはしません。

今回の調査で判明したのは、屋根ではなく、「後付けされた鉄製のベランダ」「過去のリフォーム工事」が複雑に絡み合った、少し切なくも深刻なトラブルでした。
なぜ雨漏りが起きてしまったのか、その全貌をレポートします。

【室内】天井裏で雨水を受け止めるバケツ

01.名古屋市昭和区 雨漏り点検 天井裏で雨漏りしている所にバケツを置いて防いでいます。

まずは被害状況を確認するため、室内の点検口から天井裏(小屋裏)を覗かせていただきました。
そこには、お客様が苦肉の策で設置されたプラスチックの受け皿(バケツ代わり)と、その上に置かれた水切りの網がありました。

「雨の音がするたびに、ここを確認するのが憂鬱で……」
お客様のその言葉通り、受け皿の周りの木材は湿気を含んで黒ずんでいます。
天井裏に容器を置かなければならないほど、雨水が直接的に滴り落ちてきている証拠です。

通常、屋根からの雨漏りであれば、もっと広範囲にシミが広がることが多いですが、今回はある一点に集中して水が落ちているようです。
この時点で、「屋根の全体的な劣化」というよりも、「特定の場所にある構造的な欠陥」を疑い始めました。

Danger

天井裏のバケツはあくまで応急処置
水が溢れれば、天井板が一気に崩落する危険があります。
また、湿気がこもることでシロアリを呼び寄せる原因にもなります。
バケツで受けているから安心せず、早急な根本修理が必要です。

【室内】柱に染みついた「黒い涙」

04.名古屋市昭和区 雨漏り点検 雨水が伝って柱にも雨漏りの痕が染みついています。

続いて、室内の和室を確認しました。
長押(なげし)と柱の入隅部分にご注目ください。
木材の内部から滲み出たような、黒々とした雨染みがくっきりと残っています。

これは、壁の中を伝ってきた雨水が、木の導管を通って表面に出てきたものです。
柱がここまで濡れているということは、壁の内部にある土壁や断熱材、構造用合板などは、すでに相当な水分を含んでいると考えられます。
お客様が「瓦屋根が怪しい」と思われたのも無理はありません。
位置的には屋根の下だからです。
しかし、この柱の「真上」にあるのは屋根ではなく、実はベランダでした。
この位置関係の確認が、原因特定への第一歩となります。

調査員の目

雨染みの位置と、建物の外観図面(または見取り図)を頭の中で重ね合わせます。
「この柱の上には何があるか?」を突き止めることが、名探偵への近道です。

【天井裏】腐食が進む鉄骨の補助材

03.名古屋市昭和区 雨漏り点検 天井裏内部に鋼鉄製の補助材があったが腐食が進んでいました。

再び天井裏に戻り、さらに奥深く、雨染みの真上あたりを調査しました。
そこで発見したのが、このボロボロに錆びついた鋼鉄製の補助材です。

これは、おそらく後述するベランダを設置した際、建物の強度を保つために補強として入れられた鉄骨だと思われます。
しかし、写真の矢印部分をご覧ください。
錆(サビ)が層のように重なり、鉄が膨張して崩れ落ちる「爆裂(ばくれつ)」のような状態になっています。
木材に囲まれたこの場所で、鉄だけがこれほど錆びる理由は一つ。
「外部から入った水が、この鉄骨を伝って流れ続けているから」です。

異種金属のサビ

鉄は水に触れると酸化し、体積が増えます。
錆びて膨らんだ鉄骨は、周りの木材を圧迫し、建物の歪みを引き起こす二次被害にも繋がります。

【天井裏】腐って穴が開いた野地板

02.名古屋市昭和区 雨漏り点検 屋根裏では雨漏りが原因で板材が腐食していました。

鉄骨のすぐそばにある木材(野地板や下地材)も確認しました。
こちらも予想通り、水分によって腐朽菌が繁殖し、指で押せば崩れそうなほどボロボロに腐食していました。

「瓦屋根からの雨漏り」であれば、もっと高い位置(屋根の頂点に近い場所)から水が伝ってくるはずです。
しかし、この腐食箇所は屋根の勾配の途中、ちょうど外壁と何かが接続されているラインと一致します。
ここで私たちの推測は確信に変わりました。
「犯人は屋根の瓦ではない。その下に取り付けられた構造物だ」と。

推理のプロセス
1.お客様の証言: 「瓦屋根が怪しい」
推理のプロセス
2.現場の事実: 雨漏り箇所はベランダの接続部直下
推理のプロセス
3.証拠: 鉄骨の錆と木材の腐食が局所的
推理のプロセス
4.結論: ベランダからの浸水を疑う

真犯人の登場。「鉄工所製のベランダ」

05.名古屋市昭和区 雨漏り点検 かなり昔に近所の鉄工所が初めて作ったベランダ。

外に出て、雨漏り箇所の真上を確認しました。
そこに鎮座していたのが、この巨大な鉄製ベランダです。

お話を伺うと、かなり昔にご主人のご友人が営む「近所の鉄工所」で作ってもらったものだそうです。
鉄工所のお仕事らしく、H鋼(エイチこう)などのごつい鉄骨を使っており、非常に頑丈に作られています。
ご友人との絆を感じさせる立派な構造物です。

しかし、住宅建築の視点から見ると、少し問題があります。
住宅用のアルミベランダと違い、鉄工所のベランダは「建物との接続部分の防水(雨仕舞)」が考慮されていないケースが多く、「ただ壁にドンとくっつけただけ」という納まりになりがちです。
これが、長年の雨風で隙間を生み、雨漏りの入り口となってしまったようです。

鉄工所製とメーカー製の違い

  • メーカー製(アルミ): 家に取り付けることを前提に、水切りや防水パッキンが設計されている。
  • 鉄工所製(鉄骨): 強度は抜群だが、建物との「防水接続」は現場の工夫次第。メンテナンス(塗装)を怠ると錆びやすい。

メンテナンスの限界を超えた床面の錆

06.名古屋市昭和区 雨漏り点検 ベランダに使用して行けない鉄製部材が使われていました。

ベランダの床面(デッキプレート)に上がらせていただきました。
一目見てわかる通り、塗装が完全に剥がれ落ち、全体が赤錆(あかさび)に覆われています。

本来、鉄製の床材は定期的な塗装メンテナンスで錆を防ぐ必要がありますが、ここまで腐食が進むと、表面に無数の小さな穴(ピンホール)が開いてしまいます。
雨が降るたびに、この床面全体が「ザル」のように水を通し、その水が鉄骨を伝って、建物本体へと流れ込んでいる状態です。
また、床の模様(チェッカープレート)の凹凸に水が溜まりやすいことも、劣化を早めた一因と考えられます。

Warning

鉄部の塗り替えサイン
鉄製の手すりやベランダは、触って白い粉がついたり(チョーキング)、小さな錆が出始めたら塗り替えの合図です。
穴が開いてからでは手遅れになります。

ベランダの裏側へ回った雨水の行方

07.名古屋市昭和区 ベランダ雨もり 鉄製のベランダに溜まった雨水が裏側に染みだして雨漏りを起こしていました。

ベランダの下に潜り込み、裏側を見上げてみました。
床面の錆びた部分から浸透した雨水が、裏側全体に黒い染みを作っています。

本来、ベランダの床は「水勾配(みずこうばい)」といって、外側に水が流れるように傾斜をつける必要があります。
しかし、このベランダは水平に近い状態か、あるいは経年劣化で建物側に傾いてしまっている可能性があります。
その結果、水が外に排出されず、じわじわと建物側の壁際へと逆流してしまっています。

水の動きを読む
水は正直です。
高いところから低いところへ、そして隙間があれば毛細管現象で吸い上げられます。
この黒い染みは、水が建物内部へ侵攻しているルートそのものです。

決定的な「浸入口」を発見

08.名古屋市昭和区 雨漏り点検 ベランダ裏側では染みだした雨水が室内にダイレクトに流れ落ちていました。

さらに詳細に、ベランダと外壁の接合部を覗き込みました。
ここが雨漏りの「心臓部」です。

ベランダの鉄骨が外壁に刺さっている部分に、防水処理が機能していない大きな隙間が見つかりました。
過去にベランダ下のスペースをリフォームされた形跡がありますが、その際の施工があまり良くなく、雨仕舞(あまじまい)が不完全なまま塞がれてしまったようです。
ベランダ床から漏れた水、壁を伝ってきた水が、すべてこの隙間に吸い込まれ、先ほどの「天井裏の鉄骨」や「和室の柱」へとダイレクトに流れていました。

雨漏りのメカニズム特定

  • ベランダ床の腐食で水が下に抜ける
  • 水が裏側を伝って建物側へ移動
  • 外壁との接続部の隙間から壁内へ侵入
  • 室内の天井・柱へ到達

切断された雨樋。不自然な施工の痕跡

09.名古屋市昭和区 ベランダ雨漏り 雨樋が途中で切断されていてそこから雨水が流れ落ちています。

調査の最後に、屋根周りも確認しましたが、ここで奇妙な光景を目にしました。
軒樋(のきどい)が途中でバッサリと切断され、キャップもされずに放置されています。

これでは、屋根に降った雨水がここから滝のように流れ落ち、その下の外壁やベランダを直撃してしまいます。
おそらく、過去のベランダ設置工事かリフォーム工事の際に、何らかの理由で邪魔になって切断し、そのまま処理を忘れたか、簡易的な対応で済ませてしまったのでしょう。
この「雨水の集中砲火」も、ベランダ周辺の劣化を加速させた大きな要因です。

代表・山村の想い

創業100年以上 名古屋市南区を中心に、屋根修理、外壁塗装、内装リフォームを行っています。

今回の原因は瓦屋根ではなく、「鉄製ベランダ」と「過去の施工不良」にありました。
ご友人との思い出が詰まったベランダですが、現状は家にダメージを与え続ける「凶器」になりかねない状態です。
全てを撤去するのが最善かもしれませんが、もし残したいというご希望があれば、独立柱を立てて家と切り離すなど、別の方法も検討できます。
お見積もりを作成しますので、ご家族でじっくりご相談ください。


Q1. 鉄製のベランダは雨漏りしやすいのですか?

A1. アルミ製に比べて錆びやすく、また建物と一体化させるための防水部材が規格化されていないため、施工者の技術によっては雨漏りリスクが高くなります。こまめな塗装と、接合部のシーリング点検が必須です。

Q2. ベランダが原因なら、屋根の修理は不要ですか?

A2. 今回の雨漏りの主原因はベランダですが、切断された雨樋(写真09)などは修理が必要です。また、足場を組むついでに瓦の点検・補修も行っておくと、将来的な安心に繋がります。

Q3. 鉄骨が錆びていますが、家は倒れませんか?

A3. 写真03のように補助材はかなり腐食していますが、家のメインの柱や梁(はり)が無事であれば、すぐに倒壊することはありません。ただ、濡れ続けている柱(写真04)はシロアリ被害に遭いやすいため、早めの湿気対策が必要です。



ヤマムラ建装㈱ 代表取締役 顔写真
私が点検調査にお伺いします!

名古屋市南区を中心に、名古屋市と近郊都市で活動する「ヤマムラ建装株式会社」5代目の山村です。
創業100年以上の技術を受け継ぎ、雨漏り修理から外壁塗装まで、すべて私が責任を持って担当します。

最近やり始めた趣味はゴルフと筋トレ。
お客様の「困った」を解決し、笑顔にするのが私の仕事です。
【保有資格】かわらぶき技能士・ 増改築相談員/ 【趣味】ゴルフ・筋トレ


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