名古屋市緑区 雨漏り対策、仮設足場を設置して瓦葺き替え工事!築年数経過して雨漏りした山車殿の屋根リフォーム!

弊社に点検などを依頼しようと思ったきっかけは?

名古屋市緑区にて、地域で大切に保存されている山車殿は、長年の風雨にさらされ、屋根の劣化が進行していました。
特に、屋根瓦のひび割れや剥がれが目立ち、雨漏りの心配がありました。
建物の保存会では、大切な山車を雨から守るため、以前から屋根の修繕を検討していました。
しかし、屋根は建物の最上部に位置するため、簡単に手を加えることができず、また、雨漏りに気づくのが遅れてしまったため、対応が後手に回ってしまったとのことです。
今回、弊社による詳細な点検の結果、早急な屋根瓦の葺き替え工事が必要と判断され、工事が実施されることになりました。

建物の状況

築年数 ・・・ 築60年ほど

工事費用・・・ 約180万円ほど

施工期間・・・ 実働10日間ほど

建物種別・・・ 木造戸建て

ビフォーアフター

屋根以外は修復などしていました

新しい瓦屋根での作業完了

長年、地域の人々に親しまれてきた山車殿。
しかし、築年数の経過とともに屋根の劣化が進み、雨漏りの心配が。
大切な山車を雨から守るため、屋根瓦の葺き替え工事が行われました。
その全工程を、写真とともに詳しくご紹介します。

雨漏りから守る!築年数経過した山車殿の屋根瓦葺き替え工事

屋根以外は修復などしていました

こちらの建物は、地域で大切にされている山車を保管するための「山車殿」です。
長年、地域の皆さんに親しまれてきましたが、どうしても年月が経つにつれて、あちこちに傷みが出てきます。

これまでに何度か修理をして、建物を長持ちさせる工夫をしてきたそうです。
ただ、屋根は一番高いところにあるので、なかなか自分たちで手を入れるのが難しかったとのこと。
それに、雨漏りにも気づくのが遅れてしまい、本格的な修理が遅れてしまったそうです。

室内の状況
天井裏の雨染みは核に出来ませんでした

まずは、山車殿の天井裏の状態を確認しました。見たところ、雨が染みたような跡は見当たりません。
でも、古い建物なので、どうしても天井裏全体が黒っぽくなっていて、劣化している様子がうかがえました。

そして、何よりも大切な山車が雨で濡れないように、しっかりとブルーシートで覆われていました。
実は、点検をする前後の数日間、とても天気が良かったんです。
だから、実際に雨漏りしているかどうかを確認することができませんでした。

それに、山車に被せられたブルーシートが邪魔をして、もし雨漏りしていたとしても、どこから漏れているのかを山車殿の中から見つけることができませんでした。

屋根上での目視による屋根の点検調査

和瓦に亀裂も入っていました

実際に屋根に登って、状態を確認してみました。
すると、すぐに何枚かの瓦にヒビが入っているのが見つかりました。
長年の雨風や気温の変化で、瓦が傷んでしまったようです。

このヒビ、見た目以上に深刻なんです。
これだけ大きなヒビが入っていると、雨が降った時に、そこから雨水が屋根の中にどんどん入ってしまいます。

和瓦の表面が剥離状態になっています
破損も見当たりました

屋根に上がって瓦をよく見てみると、たくさんの瓦が古くなって傷んでおり、表面がポロポロと剥がれ落ちているものがたくさんありました。

昔の瓦は、今の瓦とは作り方が違っていたようです。
今のように温度管理された工場で大量生産されるのではなく、「単窯」という小さな窯で一枚一枚焼かれていました。
そのため、焼きムラができやすく、表面が割れたりヒビが入ったりすることが多かったようです。

もちろん、今の瓦は技術が進んでいるので、昔の瓦に比べると、表面が剥がれたり割れたりしにくくなっています。
でも、この山車殿の瓦は、長年の間にかなり傷んでしまっていました。
表面が剥がれているだけでなく、完全に割れてしまっている瓦も何枚か見つかりました。

大棟部も目視による点検調査

積み上げ散りがありません
作業した範囲を掃除を行います

屋根の一番高いところにある「大棟」は、何枚もの「熨斗瓦(のしがわら)」を積み重ねて作られています。
本来は、この熨斗瓦を積み重ねる時に、「チリ」と呼ばれる少しの隙間を空けながら積んでいくのが普通です。

でも、この山車殿の屋根を見てみると、隙間を空けずにピッタリと積み重ねてしまっていました。
この積み方だと、雨水が隙間から入ってしまい、雨漏りの原因になることがあるんです。

鬼瓦の漆喰が劣化

昔の屋根では、鬼瓦を大きく見せるために、鬼瓦の背中に漆喰で飾りをつけることがよくありました。
この山車殿の鬼瓦にも、その飾りがついていました。

しかし、長年の間に漆喰が劣化して、剥がれ落ちてしまっていました。
本来であれば、定期的に塗り直しなどのメンテナンスが必要なのですが、なかなか手が回らなかったようです。

これで、雨漏りの点検は一通り終わりです。
点検の結果は、保存会の代表の方に、スマホで撮った写真を見ながら詳しく説明しました。
すると、保存会の方から「瓦の葺き替え工事をお願いしたいので、見積もりを作ってほしい」と依頼がありました。
後日、見積もりを作成して、改めて保存会の方にお渡ししました。

瓦の葺き替え工事で前準備として足場を設置して行きます

足場設置の作業の開始
敷地の近所まで運搬車が止めれました

さて、いよいよ屋根瓦の葺き替え工事が始まります。
まずは、作業の準備として、建物の周りに「仮設足場」を組み立てていきます。

今回の山車殿は、屋根以外にも何度か修繕をしている、地域の大切な建物です。
屋根の工事では、安全に作業するために、必ずこの仮設足場を設置します。

足場屋さんのトラックが到着し、建物の横に足場の材料を運び込みます。
これから、職人さんたちが手際よく足場を組み立てていきます。

足場の材料を配置します

まず、建物の周りに、これから組み立てる足場の材料を運び込み、それぞれの場所に分けて置いていきます。
足場は、組み立て途中の状態だと、まだグラグラしていて不安定です。
そのため、材料を置いたらすぐに組み立てて固定していく必要があります。

だから、職人さんたちは、できるだけ自分の手の届く場所に材料を置いて、効率よく作業できるように工夫しているんです。

一本目の足場の設置位置が決まります

足場を組むとき、まず最初に決めるのが、土台となる足場の位置です。
親方さんが、建物の周りをよく見ながら、どこに足場を立てるのが一番安定するかを慎重に決めていきます。

足場は、ただ適当に材料を組んでいけばいいというものではありません。
土台がしっかりしていないと、グラグラして危険な足場になってしまうんです。
だから、最初に土台の位置をしっかりと決めることが、安全な足場を作る上でとても大切なんです。

足場の土台の一段目の設置
安全第一で上段の足場を組みます

土台の位置が決まったら、いよいよ足場を組み立てていきます。
まずは、土台となる一段目の足場を、横一列に組んでいきます。

足場は、上へ上へと組み上げていきます。
二段目、三段目と高くなっていくにつれて、最初の足場材を取り付けるときのバランスがとても重要になります。
少しでもバランスが崩れると、足場全体がグラグラして危険です。

そのため、職人さんたちは、一本一本の足場材を慎重に確認しながら、ゆっくりと組み上げていきます。
特に、高い場所での作業になるほど、細心の注意が必要です。

建物の外週を回るように設置します

足場は、建物の周りをぐるりと一周するように、一段ずつ組み上げていきます。

足場の組み立て方は、足場屋さんによって少しずつ違います。
建物の一面ずつ組み上げていく場合もあれば、今回のように建物を一周しながら組み上げていく場合もあります。

どちらの方法で組み立てるかは、建物の形や周りの状況、トラックや材料の運び込みやすさなどを考慮して、足場屋さんが決めています。
つまり、その日の状況に合わせて、一番効率の良い方法で組み立てているんです。

仮設足場の設置作業が完了

足場をどんどん組み上げていき、ついに屋根の上まで届きました。
最後に、足場全体に安全のためのネットを取り付ければ、足場の組み立ては完了です。

こうして見てみると、足場の組み立てって、本当に大変な作業ですよね。

  1. まず、たくさんの足場材料を運ぶために、大きなトラックが必要になります。
  2. 足場を組み立てている間は、まだグラグラしていて不安定な場所を作業員さんが登って作業をします。
  3. 足場の材料は鉄でできているので、組み立てる時には大きなハンマーで打ち付ける必要があります。その音が、周りに響いてしまうこともあります。

足場を組み立てる間は、どうしても音が出たり、トラックの出入りでご迷惑をおかけしてしまうことがあります。
でも、安全に工事を進めるためには、どうしても必要な作業なんです。
ご近所の皆様には、事前にご挨拶に伺うなど、できる限りの配慮をさせていただきますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

瓦葺き替え工事として瓦や屋根土などをめくっていきます

和瓦のめくり作業を開始
台座にした瓦の上に積み上げます

足場が組み終わったら、いよいよ古い瓦を撤去していきます。
屋根の一番高いところ(大棟)から、軒先に向かって、一枚ずつ丁寧に剥がしていきます。

剥がした瓦は、そのまま下に落とすのではなく、屋根の上に置いていきます。
こうすることで、後で運びやすく、効率よく作業を進めることができるんです。

屋根土も取り除きます

古い瓦を剥がした後は、瓦の下に使われていた「屋根土(葺き土)」という土を、すべて取り除いていきます。
この屋根土、昔は瓦を固定するために使われていた特殊な土なんです。
泥のような状態で瓦の下に塗り、瓦を押し付けることで、接着剤のように瓦をくっつけていました。

でも、この屋根土にはいくつか弱点があります。
一度剥がしてしまうと接着力がなくなってしまうことや、年月が経つと風で飛ばされやすくなることです。
また、この屋根土が使える瓦は、昔ながらの和瓦だけに限られていました。

最近では、和瓦でも屋根土を使わず、釘などで固定する乾式工法が主流になっています。

屋根土をトン袋に積みます
屋根の不陸状態は比較的にいいです

剥がした屋根土や瓦の破片などを片付けるために、「トン袋」という大きな袋を屋根の上に広げておきます。
そして、剥がした土や瓦を、このトン袋にどんどん入れていきます。
こうすることで、屋根の上が片付いて、次の作業がしやすくなるんです。
土や瓦をすべて取り除くと、屋根の土台である「野地板」という板が見えてきます。
ここまで作業を進めて、ようやく屋根の骨組みがあらわになりました。

屋根の雨漏り対策でブルーシートを全面に貼ります

ブルーシートで屋根全体を養生していきます
屋根全体をブルーシートで養生しました

古い瓦と土をすべて撤去したら、次は雨対策です。
屋根全体に、大きなブルーシートを被せていきます。

ブルーシートには、いろいろな厚さのものがありますが、屋根に使う場合は、できるだけ厚手のものを選びます。
薄いものだと、雨が染み込んでしまうことがあるからです。
これで、雨が降ってもひとまずは安心です。

翌日には、新しい屋根の土台となる合板を取り付け、その上に防水シートを貼る作業を行います。
もし夜中に雨が降ってきたら大変なので、しっかりと対策をしておくことが大切です。

新しい野地板合板を使って屋根の補強などを行います

新しい野地板を重ねて貼っていきます
屋根全体に野地板合板を貼っていきます

古い野地板の上に、新しい野地板合板を重ねて取り付けます。
こうすることで、屋根の土台がさらに丈夫になります。

新しい野地板合板として、屋根の工事ではよく使われる合板というものを使います。

  1. サイズは、だいたい90cm×180cmくらいのものが一般的です。
  2. 厚みは、10mm~12mmくらいのものがよく使われます。
  3. 古い野地板も、新しい野地板と一緒に使うことで、補強材として再利用します。
屋根全体にルーフィングを貼っていきます
ルーフィングの重ねを多めにします

新しい野地板を屋根全体に貼り終えたら、その上から「ルーフィング」という防水シートを被せていきます。
このルーフィングは、万が一瓦の下に雨水が浸入してしまった場合に、雨漏りを防ぐための最後の砦となる、とても重要なものです。

ルーフィングを貼るときに気をつけなければならないのは、シート同士の重ね方です。
重ねる部分を十分に確保することで、雨水が中に入り込むのを防ぐことができます。

新しい和瓦で屋根を彩る前に事前準備として桟木などを取り付けます

規定寸法で桟木を打ち付けます

ルーフィングを貼り終えたら、次は「桟木(さんぎ)」という細長い木材を取り付けていきます。
この桟木は、瓦を引っ掛けて固定するための土台となるものです。
瓦を並べる間隔に合わせて、等間隔に桟木を取り付けていきます。

桟木には、木でできたものと、樹脂でできたものがあります。
どちらを使っても、瓦を取り付ける上では特に問題はありません。

ただし、瓦が古くなって割れたり、風化して隙間ができたりすると、そこから雨水が浸入してしまうことがあります。
もし桟木が木製だった場合、雨水で腐ってしまい、そこから雨漏りにつながる可能性も考えられます。

耐震補強金具を取り付けます

桟木を屋根全体に取り付けて行く作業と同時に、屋根の一番高い部分「大棟(おおむね)」というところに、強力棟材という補強材を取り付けます。
この補強材は、地震対策のために取り付けるもので、これを固定するために「強力棟金具」という特別な金具を使います。
棟の中心に、決められた間隔でこの金具を取り付けていきます。

必要な枚数を屋根に上げ越します
瓦を屋根に上げ運びます

これから、屋根全体に瓦を葺いていきます。
そのために、まずは必要な瓦をすべて屋根の上に運び上げます。

屋根の上に上げられた瓦は、後で職人さんが作業しやすいように、等間隔に並べて配置していきます。
なぜわざわざ瓦を屋根の上に上げるのかというと、それは、瓦を葺く作業中に、必要な瓦を手元に置いておく必要があるからです。
手の届く範囲に瓦があれば、一枚ずつスムーズに葺いていくことができます。

新しい和瓦で屋根全体に施工して彩っていきます

仮置きして高さ調整をします

次に、瓦を並べる前に、屋根の一番先端の部分(軒先)に、瓦の高さを調整するための材料を取り付けていきます。
この作業は、瓦を綺麗に並べるためにとても重要です。
職人さんが、寸法を測りながら、一枚一枚丁寧に高さを調整していきます。

高さ調整材には、いろいろな厚さのものがあります。
15mmくらいのものから30mmくらいのものまで、屋根の傾斜や瓦の種類によって使い分けます。
また、素材も木や樹脂など様々ですが、高さを調整することが目的なので、基本的にはどの素材を使っても問題はありません。

軒先瓦を一列に並べて行きます
一列ずつ瓦を並べて行きます

まず、屋根の一番先端の部分、軒先に専用の瓦を横一列に並べていきます。
この瓦は、軒先専用の特別な形をしています。

次に、屋根の大部分を占める平瓦を葺いていきます。
今回は、屋根の右側から左側に向かって葺いていきます。

基本的には右側から葺いていくことが多いですが、屋根の形や瓦の種類によっては、左側から葺くこともあります。
また、大きな屋根の場合、例えばゼネコンが手がけるような大きな建物では、何人もの職人さんが手分けして、同時に瓦を葺いていくこともあります。

縦に一列ずつ並べて行きます

和瓦を葺くときは、縦一列ずつ、下から順番に瓦を重ねながら、屋根全体に葺いていきます。

瓦は一枚ずつ丁寧に重ねていくことで、雨水が中に入り込まないように工夫されています。
職人さんの熟練の技が光る、根気のいる作業です。

隙間に加工した瓦を施工します

屋根の一番高い部分、「大棟(おおむね)」の際の部分には、どうしても隙間ができてしまいます。
この隙間を埋めるために、平瓦を加工した「調整瓦」というものを取り付けます。

調整瓦を取り付ける理由は、主に以下の4つです。

  1. 大棟を安定させるための土台部分に隙間ができないようにするため。
  2. 「南蛮漆喰(なんばんしっくい)」などの接着剤でしっかりと固定するため。
  3. 釘などで無理やり固定すると、雨漏りの原因になることがあるので、釘は使いません。
  4. 調整瓦のサイズは、現場の状況に合わせて、一枚ずつ加工して調整します。

この調整瓦は、和瓦だけでなく、洋瓦やスレート瓦など、さまざまな種類の瓦屋根で使われることがあります。

ケラバ袖部に調整用の丸冠瓦を取り付けて行きます

南蛮漆喰を置きながらとりつけます
一本ずつ丸瓦を取り付けます

屋根の両端に、加工した瓦を取り付けた部分に、「丸冠瓦(まるかんがわら)」という丸い形の瓦を取り付けます。
この丸冠瓦は、必ず取り付けなければならないものではありません。
取り付ける理由は、主に以下の3つです。

  1. 以前の屋根にも丸冠瓦が使われていたから。
  2. 瓦の寸法を調整するために取り付けることがあるから。
  3. お客様からのご要望があったから。

丸冠瓦を取り付けるかどうかは、工事のお見積もりをする際に、お客様に確認したり、こちらからご提案したりして決めます。
今回の工事では、以前の屋根にも丸冠瓦が使われていたことと、お客様からのご要望もありましたので、取り付けることになります。

大棟部に棟瓦で積み上げ作業を行います

棟に芯材を入れて行きます

大棟(おおむね)に「棟芯材(むねしんざい)」という補強材を取り付けます。
これは、地震の揺れに備えて、大棟をより丈夫にするためのものです。

棟芯材は、「強力棟」という金具の上に乗せて固定します。
この強力棟は、ビスを打ち込むための土台となる部分を作る役割があります。

この棟芯材を使う工法は、最近屋根工事のガイドラインで定められました。
補強材を入れることで、大棟が地震で崩れにくくなるんです。

熨斗瓦同士を縛り合います

次に、熨斗瓦(のしがわら)という瓦を一枚ずつ積み重ねて、屋根の一番高い部分、「大棟(おおむね)」を作っていきます。
熨斗瓦を積み重ねる際には、一枚一枚針金でしっかりと固定していきます。
こうすることで、瓦がずれたり、崩れたりするのを防ぎます。

昔は、熨斗瓦を積み重ねる際に、「屋根土」という特別な土を使っていました。
最初の熨斗瓦を置く時には、天日で少し乾燥させた硬めの土を使い、その後は水を混ぜて柔らかくした土を使っていました。

しかし、最近ではこの方法で大棟を作ることはほとんどありません。
理由はいくつかあります。

  1. 大量の屋根土が必要になるため、運搬が大変。
  2. 屋根土を運んでくれるトラックの運転手さんが減ってしまった。
  3. 大量の屋根土を置いておくためのスペースが少ない。
  4. 乾燥させた土を徐々に柔らかくする作業には、熟練の技術が必要になる。
  5. 和瓦の屋根が減少し、その技術を継承する人も少なくなった。
  6. 現在この方法で工事を行うと、費用がかなり高くなってしまう。

そのため、現在では屋根土の代わりに、「南蛮漆喰(なんばんしっくい)」という白い土を使っています。
南蛮漆喰は、硬さの調整ができないため、昔に比べて熨斗瓦を針金でしっかりと固定する必要があるんです。

これ以上は、かなり専門的なお話になってしまうので、ここでは割愛させていただきます。
ただ、今の屋根屋さんが昔に比べて手抜きをしているわけでは決してありません。
むしろ、針金でしっかりと固定する分、手間は増えているんですよ。

棟瓦を上に積み上げます
南蛮漆喰を塗り込んでいきます

大棟(おおむね)の二段目からは、熨斗瓦(のしがわら)を一枚ずつ積み重ねていきます。
一番上まで、針金でしっかりと固定しながら積み上げていきます。

熨斗瓦を積み重ねる際には、一枚一枚の間に「南蛮漆喰(なんばんしっくい)」という白い漆喰を丁寧に塗り込んでいきます。
表面まで綺麗に塗り込むことで、漆喰が乾いて固まった時に瓦同士がしっかりとくっつき、大棟が崩れにくくなるんです。

鬼瓦の背中部分で縛っていきます

次に、鬼瓦(おにがわら)が倒れないように、しっかりと針金で固定していきます。
使うのは、4~6本の針金を束ねて撚った(よった)、とても丈夫な針金です。
これだけしっかりと固定しておけば、鬼瓦が倒れてしまう心配はほとんどありません。

冠瓦を一本ずつ並べて行きます

鬼瓦(おにがわら)の高さよりも少し低くなるまで熨斗瓦(のしがわら)を積み上げたら、最後に「大棟冠瓦(おおむねかんむりがわら)」を取り付けます。
熨斗瓦を何段積み重ねるかは、基本的に鬼瓦の大きさに合わせて決めます。

そして、一番上に取り付ける大棟冠瓦には、いくつかの種類があります。
屋根屋さんは、屋根の形や鬼瓦の種類などによって、最適なものを選んで使います。

ビスで固定して作業の完了です
新しい瓦屋根での作業完了

棟冠瓦(むねかんむりがわら)を、パッキン付きのビスでしっかりと固定していきます。
この時、ビスの長さがとても重要です。
棟冠瓦の下に取り付けた「棟心材(むねしんざい)」まで、しっかりと届く長さのビスを使う必要があります。
ビスを締め込むことで、棟冠瓦がしっかりと押さえつけられ、棟全体の瓦が固定されます。
こうすることで、大棟(おおむね)が崩れにくくなるんです。

ビスを打ち込んで、棟冠瓦を取り付ければ、熨斗瓦(のしがわら)と棟冠瓦を使った大棟の積み上げ工事は完了です。

屋根全体を掃除などを行い作業の完了となります

ビスを打ち込んで固定していきました
鬼瓦にコーキングボンドが塗ってあります

瓦を固定するために、瓦についている釘穴を利用して、パッキン付きのビスを打ち込んでいきます。
次に、鬼瓦(おにがわら)と熨斗瓦(のしがわら)が接する部分に、隙間ができないようにコーキングボンドを塗っていきます。

コーキングボンドは、防水性のある接着剤のようなものです。
隙間を埋めることで、雨水が中に入り込むのを防ぎます。

道具などを降ろし掃除をします

瓦葺きが終わったら、屋根の上に残っている道具や材料を片付けていきます。
屋根の上で使った道具や、余った瓦などを、一つずつ丁寧に下ろしていきます。
すべて下ろし終えたら、最後に屋根全体を綺麗に掃除します。
これで、屋根の上の作業はすべて完了です。

足場の解体工事の完了

すべての作業が終わったら、最後に、安全のために設置していた足場を解体します。

建物全体を覆っていた足場が撤去され、建物の全景が再び見えるようになりました。
綺麗になった屋根を見た保存会の方々からは、「すごく綺麗になってよかった」「新しい屋根になって嬉しい」といった喜びの声をいただきました。

そして最後には、「今度は外壁も綺麗にしたいね」と、次の計画も話されていました。

ヤマムラ建装 株式会社では

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