「屋根の上の川」が逆流していた。見えない中樋の不具合を暴き、排水の流れを正す

「天井にシミができている…もしかして雨漏り?」
名古屋市昭和区にお住まいのお客様から、そんな不安なご相談をいただきました。
築年数が経ったお住まいの屋根は、一見すると瓦が整然と並んでいるように見えます。

しかし、雨漏りの原因は、瓦そのものではなく、その隙間に隠された「中樋(なかどい)」にありました。

中樋とは、複雑な屋根形状において雨水を集めて流す、いわば「屋根の上の川」。
ここが劣化し、排水不良を起こせば、雨水は行き場を失い、家の中へと溢れ出します。
本記事では、原因特定から、腐食した下地の再生、そして新しい板金への交換まで、職人の手仕事による屋根再生ドキュメントをお届けします。


【重要】ご相談のきっかけ・工事の背景

「雨が降ると、天井の一部が湿っている気がして…」

お客様からのご連絡は、住まいの異変を知らせるSOSでした。
現場は名古屋市昭和区の閑静な住宅街にある、築年数を重ねた立派な瓦屋根のお宅。
長年、風雨からご家族を守り続けてきましたが、経年劣化の波は確実に忍び寄っていました。

調査に伺い屋根に登ると、瓦自体に大きな割れはありません。
しかし、屋根の谷間にある「中樋」周辺を詳しく調べると、決定的な不具合が見つかりました。
「水が流れていない」のです。

本来、雨水をスムーズに流すべき中樋が、施工当時の精度不足か経年による歪みか、排水口に向かって高くなってしまっていました(逆勾配)。
水は高いところから低いところへ流れます。
出口が高い中樋では水が溜まり続け、板金を錆びさせ、ついには下地の木材を腐らせていたのです。

「このままでは、さらに大きな被害が出ます」 私たちは、表面的な修理ではなく、中樋を交換し、水の流れを根本から正す工事をご提案しました。

建物の状況

築年数築100年以上
工事費用約45万円ほど
施工期間約4日ほど
建物種別木造戸建て

目次

作業のビフォーアフター

中樋部では瓦もズレ始めていそうです
✖:作業前の中樋から雨漏りしている様子!
掃除を行って作業の完了です
〇:新しい谷鈑金で中樋を交換しました!

その雨漏り、屋根の「中樋」が原因かも?プロが教える雨漏りチェックポイント

雨漏れから天井の壁紙が捲れました
屋根に登って目視による点検調査

先日、名古屋市昭和区のお客様から「天井から雨漏りがする」というご相談をいただき、早速お伺いしました。築年数がかなり経っているお宅の屋根は、長年の風雨にさらされて劣化が進んでいました。
特に注意が必要なのが、屋根の谷部分に設置されている中樋(なかどい)です。
中樋とは、屋根瓦と屋根瓦の間にあり、雨水を集めて流す役割を持つ板金のこと。
この部分の板金が経年劣化で錆びたり腐食したりして穴が開くと、そこから雨水が浸入し、雨漏りの原因となるケースが非常に多いのです。

中樋は普段目にする機会が少ない場所ですが、雨漏りリスクの高い重要な箇所です。
特に築年数が古いお住まいでは、板金の寿命が原因で雨漏りが発生している可能性が考えられます。

「うちは大丈夫だろう」と思われがちですが、屋根は常に紫外線や雨風にさらされています。
雨漏りは、放置しておくと建物の構造部分を腐食させ、大きな被害につながることもあります。
定期的な点検と早めのメンテナンスが、大切なお住まいを守るための鍵です。

瓦の隙間にある「中樋板金」とは?錆びや腐食が雨漏りを引き起こす理由

瓦屋根との間には中樋板金が設置する場所がありました
屋根には中樋になる場所がありました

今回の現場調査で確認したのは、屋根瓦と屋根瓦の間に設置された、中樋板金(なかどいばんきん)と呼ばれる部材です。
複雑な形状をした屋根の場合、瓦の谷間に降り注いだ雨水を効率よく集め、スムーズに排水するために、この専用の板金が雨水の通り道として取り付けられています。

いわば屋根の上に流れる「川」のような重要な役割を果たしている場所ですが、実はここが雨漏りの弱点になりやすい箇所でもあります。
特に、数十年前に施工されたお住まいの場合、当時使用されていた板金の材質(トタン等)によっては、長年の経年劣化錆びが発生しやすくなっています。

「まだ大丈夫だろう」と放置していると、錆びが進行して腐食し、最終的には板金に穴が開いてしまいます。
そこから屋根裏へ直接水が浸入してしまうケースが後を絶ちません。
普段下から見上げているだけでは気づけない場所だからこそ、私たちは実際に屋根に登り、素材の劣化具合まで徹底的にチェックを行っています。

【雨漏り調査】排水不良の原因判明!中樋(なかどい)の勾配不良と下地「野地板」の補修提案

点検調査を開始します

壁際(かべぎわ)の奥深く、普段は目に見えない部分ですが、ここには雨水を効率よく縦樋へと送るための集水器という部材が設置されています。
今回の雨漏り調査では、この排水の要となる部分を重点的にチェックいたしました。

調査の結果、集水器が設置されていない箇所において、中樋板金(なかどいばんきん)が正規の位置よりも若干高く取り付けられている状態を確認しました。
「たかが数センチ」と思われるかもしれませんが、水は高いところから低いところへ流れます。
出口側が高いと雨水がスムーズに排出されず、その場に滞留してしまいます。
これが雨漏りや、板金の下にある木材の腐食を招く大きな原因となっていたのです。

このままでは根本的な解決にならないため、今回は水の流れを正常に戻すための中樋板金の交換工事と、長年の湿気で傷んでしまった周辺の野地板(のじいた)の張り替え補修を含めたプランをご提案いたしました。
建物の寿命を延ばすために必要な工事を厳選し、詳細なお見積書を作成しております。
私たちは、建物の構造を理解した上で、見落とされがちな「排水の不具合」もしっかりと是正します。

新しい中樋板金に交換するために作業を進めて行きます

中樋部では瓦もズレ始めていそうです

今回の工事では、雨漏りの原因となっている経年劣化した中樋板金を取り外します。
取り外すのは中樋板金だけでなく、その周辺の屋根瓦や、屋根の内部にある屋根土や杉皮材等も含まれます。

まずは、作業開始前の状態です。
長年使用された古い中樋板金を取り外し、干渉している周辺の屋根瓦も取り除いていきます。

【中樋交換】瓦は割らずに再利用!工事品質を高めるための「屋根土」撤去と徹底清掃

瓦のめくり工事
屋根土や杉皮材などが使われています

中樋板金(なかどいばんきん)の交換工事に伴い、まずは作業の障害となる周辺の屋根瓦を一時的に取り外しました。
この瓦は、工事の最終段階で再び元の位置に戻して使用します。
そのため、取り外しの際は一枚たりとも割ったり欠けさせたりしないよう、細心の注意を払いました。
外した瓦は、屋根上の安全なスペースを確保し、強風で飛散しないよう整理整頓して丁寧に保管しています。

瓦を退避させると、その下からは古い工法特有の屋根土や、防水紙の代わりとして使われていた杉皮(すぎかわ)が現れます。
これらは長年の役割を終え、乾燥してボロボロになっていることが多いため、新しい板金を取り付ける前にすべて綺麗に取り除かなければなりません。

私たちは、この見えなくなる下地部分こそ重要だと考えています。
古い土や杉皮を完全に撤去し、隅々まで清掃を行うことで、新しい部材が隙間なくぴったりと収まる土台を作ります。
手抜きのない下地処理が、雨漏りのない長持ちする屋根を作る第一歩です。

【屋根の下地補強】野地板の「重ね張り」で強度アップ!瓦と板金を支える頑丈な土台作り

新しい野地板合板を取り付けて行きます

清掃作業を終え、障害物のなくなった屋根面に、新しい野地板(のじいた)となる合板を施工していきます。
今回は、掃除して綺麗になった既存の下地の上に、新しい板を重ね張りする形で全体に取り付けました。

この工程は、単に平らな面を作るだけが目的ではありません。
新しく張った野地板は、これから設置する中樋板金や、戻していく屋根瓦をしっかりと固定するための、頑丈な土台となります。
同時に、経年で弱っていた屋根全体をガッチリと固める補強材としての役割も果たします。

重い瓦や板金を支えるのは、表面の仕上げ材ではなく、この下地です。
完成してしまうと二度と目にする機会のない場所ですが、お住まいの耐久性を左右する最も重要な部分だからこそ、釘の一本一本まで確実に打ち込み、揺るぎない基礎を作り上げています。

防水紙は「上」に被せる!中樋板金取り付け時の重要な重ね順

新しい中樋板金を屋根の上に上げ越します
屋根の中樋部に新しい中樋板金の取り付け

下地補強が終わった新しい野地板の上に、屋根の二次防水となる防水紙(ルーフィング)を全体に敷き詰めていきます。
続いて、加工済みの新しい中樋板金(なかどいばんきん)を屋根へと運び上げ、いよいよ取り付け作業に入ります。

この工程で、私たちが最も神経を使うのが「部材を重ねる順番」です。
絶対に間違えてはいけないのが、防水紙の先端を、必ず中樋板金の「上」に乗せるように被せてセットすることです。
もし逆に、紙を板金の下に巻き込んでしまうと、水が板金の裏側へと回り込み、雨漏りに直結してしまいます。

正しく上から被せることで、万が一瓦の隙間から雨水が浸入しても、水は防水紙の表面を滑り落ち、自然と板金の中へと誘導され排水されます。
水が流れる理屈に逆らわない、正しい施工手順を徹底することで、雨漏りのリスクを根本から断ち切ります。

【瓦の再利用】古い瓦を割らずに固定する技!専用ドリルとビス釘を使った丁寧な復旧作業

一枚ずつ瓦を再施工します
屋根瓦にはビスを打ち込んで固定します

新しい中樋板金(なかどいばんきん)の設置が完了し、いよいよ工事も折り返し地点です。
ここからは、一時的に取り外して保管しておいた屋根瓦を、元の位置へと戻す復旧作業に入ります。

今回は、長年お住まいを守ってきた既存の瓦を捨てずに再利用します。
しかし、ここで一つ技術的な課題があります。
年数が経過した瓦は、見た目は立派でも素材が硬化してもろくなっており、無理に釘を打ち込むと衝撃で割れてしまうリスクがあるのです。

そこで私たちは、手間を惜しまず一枚一枚の瓦に専用のドリルを使って、丁寧に下穴(ビス用の穴)を開ける作業を行いました。
このひと手間を加えることで、瓦を破損させることなく、保持力の高いビス釘でガッチリと固定することが可能になります。
ただ元に戻すだけでなく、以前よりも風や揺れに強い状態にしてお引き渡しする。

壁際からの浸水を防ぐ!瓦を奥まで差し込む「雨漏り対策」で工事完了

壁際の奥にも瓦を施工します
両屋根の隙間を開けて施工します

工事の最後を締めくくるのは、雨漏りの発生源になりやすい「壁際」の処理です。
ここにあるトタン部分との接合部は、雨仕舞い(あまじまい)において非常に重要なポイントです。
私たちは、屋根瓦を単に並べるだけでなく、トタン壁の下側、その奥深くまでしっかりと差し込むように取り付けを行いました。

なぜここまで深く差し込むのかというと、台風などの強風時には、雨水が風に煽られて下から上へと逆流し、隙間から吹き込むことがあるからです。
瓦を奥まで入り込ませることで、物理的な壁を作り、万が一の浸水を防ぐ鉄壁の雨漏り対策となります。

ズレや浮きがないか最終確認を行い、これにてすべての屋根リフォーム工程が無事に完了いたしました。
瓦の一枚一枚までこだわり抜いた施工で、お客様の大切なお住まいを長期間守り抜く準備が整いました。

【昭和区】リフォーム完工!トタン屋根の隙間もコーキングで完全防水して引き渡し

板金の隙間をコーキングボンドで塞ぎます
掃除を行って作業の完了です

工事の総仕上げとして、トタン屋根の接続部分(継ぎ目)の最終メンテナンスを行いました。
経年劣化によってわずかに開いてしまった隙間は、そのままにしておくと雨漏りの入り口になりかねません。
そこで、隙間を埋めるコーキングボンドを丁寧に充填し、水の侵入をシャットアウトする防水処理を施しました。

以上をもちまして、昭和区のお客様よりご依頼いただきました、全ての屋根リフォーム工事が滞りなく完工いたしました。
私たちは、目立つ場所だけでなく、こうした細部の防水対策こそが、お住まいの寿命を延ばす鍵だと考えています。
「これで雨の日も安心だね」と言っていただけるよう、最後まで気を抜かずに作業させていただきました。
今後も定期的なメンテナンスなどを通じて、末永くお住まいを見守らせていただければ幸いです。



Q1. 野地板(のじいた)の工事は必ず必要ですか?

A. 中樋からの雨漏りがあった場合、その下の木材(野地板)も水を吸って腐食しているケースがほとんどです。腐った土台の上に新しい板金を置いても固定できないため、交換や補強をお勧めしています。

Q2. 工事期間中、雨が降ったらどうなりますか?

A. 屋根を開ける工事ですので、天気予報を厳重にチェックして日程を組みます。作業終了時には必ず防水紙やブルーシートで養生を行い、雨が入らないよう万全の対策をして帰ります。

Q3. 中樋(なかどい)とはどこの部分ですか?

A. 屋根の面と面がぶつかる「谷」になっている部分です。ここに設置されている金属製の溝(板金)が雨水を集めて流します。屋根の中で最も水が集まる場所なので、劣化しやすく雨漏り原因No.1の箇所です。



ヤマムラ建装㈱ 代表取締役 顔写真
私が点検調査にお伺いします!

名古屋市南区を中心に、名古屋市と近郊都市で活動する「ヤマムラ建装株式会社」5代目の山村です。
創業100年以上の技術を受け継ぎ、雨漏り修理から外壁塗装まで、すべて私が責任を持って担当します。

最近やり始めた趣味はAIの勉強と筋トレ。
お客様の「困った」を解決し、笑顔にするのが私の仕事です。
【保有資格】かわらぶき技能士・ 増改築相談員/ 【趣味】AIの勉強


同一地域で行った現場施工事例集

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各地域での点検やメンテナンスを行ったブログ記事

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