【瓦屋根補強】東浦町 葺き替えはまだ早い?費用を抑える補強工事という選択肢!雨漏り点検と漆喰補修の重要性を解説!
writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
その古い瓦、交換?補強?最適な修理をご提案します。
工事のきっかけ
東浦町にお住まいのお客様から、リフォームを手がける工務店様を通じて、屋根の点検と補強に関するご相談をいただいたのが、今回の工事の始まりでした。
きっかけは、数ヶ月後に控えた外壁塗装のリフォーム計画でした。
「どうせ足場を組むのであれば、長年気になっていた屋根も一緒に見てほしい。築40年近く経ち、一度も本格的なメンテナンスをしたことがないのがずっと気がかりだった」とのこと。
特に最近、大型台風のニュースをテレビで見るたびに、ご自宅のどこか懐かしい赤い瓦が強風で飛ばされたりしないか、ご不安を感じることが増えていたそうです。
しかし同時に、「まだ雨漏りしているわけではないし、屋根を全部新しくする葺き替え工事は費用も大きいので、できれば避けたい」というお気持ちも強くお持ちでした。
そこで、「今の瓦を活かしたまま、費用を抑えて屋根を強くする方法はないだろうか」と工務店様にご相談されたところ、屋根の専門家である私たちにご連絡をいただく運びとなりました。
お客様の「不安」と「希望」の両方に、専門家の視点から誠実にお応えするための、詳細な訪問調査がスタートしました。
建物の状況
築年数 ・・・ 築30年以上
工事費用・・・ 約35万円ほど
施工期間・・・ 約4日間ほど
建物種別・・・ 戸建て(木造)
ビフォーアフター

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ご自宅の屋根を見上げたとき、どこか懐かしい「赤い瓦」が使われていませんか?
その色、実は築30年、40年以上が経過している、お住まいの歴史を示すサインかもしれません。
「もう古いから、そろそろ屋根全体を新しくしないと駄目だろうか」
「でも、テレビCMで見るような葺き替え工事は費用が高額で、なかなか決心がつかない」
そんなお悩みを抱えている方も、名古屋市近郊には多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、少しお待ちください。
古い瓦屋根の修理は、必ずしも高額な葺き替え工事だけが唯一の答えではありません。
屋根の状態を専門家が正しく診断すれば、既存の瓦を活かし、費用を大きく抑えながら強度を高める「補強工事」という賢い選択肢が見つかることもあります。
この記事では、名古屋市で数多くの屋根を診断してきた私たちが、お客様のご予算とご希望を第一に考え、最適な補強プランをご提案した実際の工事例を、調査から完了まで丁寧にご紹介します。
プロの診断で何が分かるのか、その全てを詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【東浦町】その屋根の赤瓦、もしかして…?色で分かる築年数と点検のサイン


東浦町にて、経年劣化した陶器瓦の補強工事をご検討中のお客様のもとへ、事前の訪問調査に伺いました。
現在の屋根の状態で補強が可能か、また、どのような材料がどれくらい必要かを正確に把握するための、工事の第一歩となる重要な工程です。
拝見したお宅の屋根は、どこか懐かしさを感じる鮮やかな「赤瓦」でした。
実は私たち専門家は、この瓦の色を見ておおよその建築年代を推測することがあります。
この赤瓦は、主に1960年代から1980年代半ばにかけて大変人気があった色なのです。
最近の主流である黒やグレー系とは異なり、瓦の色にも時代ごとの流行が表れます。
そして、瓦の色に歴史を感じるということは、それだけ長い年月が経過している証拠です。
ご自宅の屋根を見て「昔よく見た色だな」と感じたら、それはメンテナンスを考える良い機会かもしれません。
大切な住まいを長く守るため、ぜひ一度、専門家による点検をご検討ください。
その瓦、補強?交換?葺き替え?プロが教える屋根修理の見極め方


補強工事が可能かどうかを判断するため、私たちは瓦一枚一枚の状態を丁寧に点検します。
今回は、プロがチェックしている主なポイントと、その状態に応じた最適な修理方法についてご説明します。
まず確認するのは、砂埃などの汚れの付着具合、雨漏りに直結する亀裂や割れの有無、そして冬場の凍害などで起こる表面の剥がれや破裂です。
これらは、瓦の耐久性がどれだけ残っているかを知るための重要なサインになります。
点検の結果、もし割れている瓦が10枚以下と少数であれば、その部分だけを新しい瓦に差し替え、残りの健全な瓦を補強する、という費用を抑えたご提案も可能です。
しかし、損傷が広範囲に及んでいる場合は、部分的な修理では根本的な解決になりません。
その際は、将来的な安心を考え、屋根全体を新しくする「葺き替え工事」が最善の選択となります。
私たちは、お客様にとって最適なプランをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。
雨漏りは「屋根のてっぺん」から始まる。大棟の漆喰劣化を見逃さないで!

瓦一枚一枚の健全性を確認すると同時に、私たちは屋根全体の構造的な弱点となりやすい箇所の点検も入念に行います。
その中でも、特に雨漏りの原因となりやすいのが、屋根の頂点に位置する「大棟(おおむね)」です。
今回の調査でも、大棟の端にある鬼瓦と棟瓦の接続部分に、典型的な劣化が見つかりました。
本来であれば「漆喰(しっくい)」によって隙間なく守られているはずの場所に、雨水が簡単に入り込めるほどの大きな隙間ができていたのです。
これは、長年の厳しい風雨にさらされたことで漆喰が劣化し、その役割を終えて剥がれ落ちてしまったことが原因です。
この隙間は、もはや屋根裏への雨水の浸入口そのものです。
たとえ瓦本体にひび割れがなくても、こうした場所から雨漏りは静かに始まります。
なぜ昔の屋根には隙間が?「たがね」と「グラインダー」に見る技術の進化


ご説明した鬼瓦と棟瓦の間に見られた隙間。「なぜ、そもそも隙間ができてしまうの?」と疑問に思われたかもしれません。
これは決して手抜き工事ではなく、当時の施工で使われていた「道具」に理由があります。
現在、私たちは棟瓦を鬼瓦の複雑な曲線に合わせて加工する際、「グラインダー」という電動工具を用いて精密に切断します。
しかし、このお住まいが建てられた当時は、まだそうした便利な工具は一般的ではありませんでした。
当時の職人さんたちは、おそらく「たがね」という鋼鉄のノミのような道具を使い、一つ一つ手作業で瓦を打ち欠いて形を整えていたのです。
それは素晴らしい職人技ですが、やはり手作業では電動工具ほどの精度は出せません。
そのため、瓦の接合部にわずかな隙間が生まれるのは、当時の技術ではある意味、仕方のないことでした。
だからこそ、その隙間を埋める「漆喰」が、防水のために非常に重要な役割を担っていたのです。
その古い屋根、葺き替えはまだ早いかも?費用を抑える「補強工事」という選択肢

これまでの詳細な点検を経て、いよいよ具体的な工事方針を決定します。
古い陶器瓦の屋根と聞くと、大規模な「葺き替え工事」を想像されるかもしれませんが、必ずしもそれだけが選択肢ではありません。
今回のお客様からは、「今の瓦をできるだけ活かして、大がかりなリフォームではなく補強で済ませたい」というご要望をいただいていました。
私たちの専門的な点検の結果、幸いにもこのお宅の陶器瓦は、経年による変化はあるものの、割れや欠けといった深刻な破損はほとんど見られない良好な状態でした。
そこで、この「お客様のご希望」と「瓦がまだ十分に健全である」という診断結果に基づき、今回は葺き替えではなく、既存の瓦一枚一枚をコーキングで接着固定する「補強工事」が最善の策であると判断し、ご提案いたしました。
これにより、費用を抑えながら、台風や強風への備えを強化するという目的を達成できます。
私たちは、常に屋根の状態とお客様のご意向に寄り添った最適なプランをご提案します。
屋根の状態に合わせた瓦コーキングの正しい塗り方


一口に「瓦のコーキング補強」と言っても、実はその塗り方には、屋根の状態に合わせた複数のパターンが存在します。
今回は、私たちが行う具体的な施工方法とその使い分けについてご紹介します。
まず、基本となる施工方法は、陶器瓦一枚一枚の「横側」と、正面の盛り上がった「山部」の二方向にコーキング材を塗布し、瓦同士をしっかりと接着固定するやり方です。
これにより、屋根全体の一体感が高まり、台風などの強風に対する抵抗力を大きく向上させることができます。
しかし、屋根の形状や水の流れ、お客様のご要望によっては、あえて塗り方を変えることもあります。
例えば、瓦の横側か正面側のどちらか一方向のみに塗る方法です。
これは、水の逃げ道を適切に確保しつつ、最低限必要な箇所を補強するための合理的な選択肢です。
やみくもに塗るのではなく、それぞれの屋根に合わせた最適な施工を見極めることこそ、私たち専門家の役割だと考えています。
一枚一枚、丁寧に。大きな切妻屋根の全面コーキング補強と作業日数

屋根の状態に合わせた最適な塗り方で、いよいよ屋根全体の補強作業へと入ります。
今回の現場である大きな切妻屋根の、南面から北面まで、すべての陶器瓦が今回の施工対象です。
作業は、一枚一枚の瓦に丁寧にコーキング材を塗布し、隣り合う瓦同士を確実に接着させていく、地道で根気のいる工程です。
屋根の端から端まで、一か所たりとも見逃すことなく、着実に進めていきます。
こうした丁寧な手作業を屋根全体に施していくため、今回のように大きな屋根の場合、コーキング作業だけで2日半という時間を要しました。
この時間は、単に作業にかかった時間というだけではなく、見えない部分まで手を抜かず、確実な強度と将来の安心をお届けするための、私たちのこだわりの証です。
【屋根補強工事完了】雨漏りの原因を塞ぎ、屋根全体の安全性を高めました


屋根全体の瓦の接着固定と並行し、今回の調査で明らかになった最大の懸念点、大棟部分の補修を行いました。
経年劣化により新築時の漆喰が剥がれ、鬼瓦と棟瓦の接続部分にできていた危険な隙間は、雨漏りの直接的な原因となっていました。
この隙間を埋めるため、高耐久のコーキング材を丁寧に充填していきます。
使用するコーキング材は、乾燥すると弾力のあるゴム状に硬化する性質があり、雨水をしっかりと弾いて水の浸入を防ぎます。
この棟部分の補修、そして屋根全体の瓦一枚一枚の補強作業をもちまして、ご依頼いただいた全ての工程が完了いたしました。
最後に、お客様へ完了のご報告をさせていただき、現場を後にしました。
調査から施工まで、大切なお住まいの工事を安心してお任せいただけるよう、私たちは一つ一つの工程に責任を持って取り組んでいます。
初動調査でもあるこちらの現場ブログの一番始まりはこちらから読めますよ↓↓↓
『東浦町【瓦屋根補強】和瓦へのコーキング雨漏りの原因かも?費用を無駄にしない事前調査と瓦落下の危険サインを解説!』

