【名古屋市緑区】足場設置から破損した和瓦の差し替え・漆喰補修まで!隅棟のズレが招いた雨樋干渉の原因解消【瓦修繕交換】
writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
名古屋市緑区の寺院屋根修繕|入母屋の隅棟ズレによる瓦割れ交換と漆喰補修
名古屋市緑区にある由緒ある寺院様より、本堂の屋根に関するご相談をいただきました。
現地調査を行ったところ、入母屋屋根の特長である「隅棟」が経年劣化によりズレ動き、その重みで銅製の雨樋を支える金具を圧迫。
結果として、その下の和瓦が押し割れるという複合的な破損が起きていました。
本日のブログでは、この危険な状態を解消するために行った一連の屋根修繕工事の様子をご紹介します。
安全な仮設足場の設置に始まり、破損した瓦の丁寧な取り外し、強固な南蛮漆喰を用いた差し替え交換、そして仕上げの漆喰補修まで。
建物を長く守るために、私たちが現場でどのような作業を行い、見えない下地までこだわって仕上げたのか、その全貌を分かりやすく解説いたします。
入母屋の隅棟ズレによる瓦割れと雨樋への影響を解消

本日は名古屋市緑区にある由緒ある寺院にて、本堂の屋根修繕を行いました。
現場は入母屋(いりもや)屋根という伝統的な建築様式ですが、長年の風雨による経年劣化で、屋根の角にあたる「隅棟」の一部が本来の位置からずり落ちかけている状態でした。
今回の瓦割れの主な原因は、この棟のズレにあります。
重みで下がってきた棟が、銅製の雨樋を支える「樋吊り」という金具に干渉し、その圧力がテコの原理のように働いて、下の和瓦を押し割ってしまっていたのです。
このように、一見すると単なる瓦の破損に見えても、根本的な原因が別の場所にあるケースは少なくありません。
工事にあたっては、建物の正面に仮設足場をしっかりと組み、安全を確保した上で作業を進めています。
まずは破損してしまった瓦を丁寧に取り除き、周囲のバランスを見ながら新しい瓦へと差し替え交換を行いました。
熟練の職人が、瓦一枚一枚の噛み合わせを確認しながら、建物の景観と機能を損なわないよう細心の注意を払って仕上げていきます。
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目次
【屋根漆喰補修】安全な足場が品質を決める|破風板修繕に向けた作業床設置の重要性


屋根工事において、最終的な仕上がりの美しさを左右するのは、実は職人の腕だけでなく仮設足場の質にもあります。
今回の現場では足場屋さんと綿密に打ち合わせを行い、単なる移動通路としてだけでなく、しっかりとした作業床を広範囲に設置していただきました。
足元が不安定な状態では、どれだけ経験を積んだ職人でも本来のパフォーマンスを発揮することが難しいからです。
特に今回は、屋根の妻側(側面)にある破風板(はふいた)部分の、剥がれ落ちた屋根漆喰を塗り直す補修工事が含まれています。
漆喰を塗る左官作業は非常に繊細な手元の技術が求められるため、道具や材料を置くスペースを十分に確保し、常に無理のない姿勢で作業ができる環境作りが不可欠です。
お客様の大切な建物を守る工事だからこそ、私たちは安全対策と施工環境の整備に一切の妥協をせず、一つひとつの工程を誠実に進めていきます。
【瓦交換と下地処理】古い屋根土を撤去し、南蛮漆喰で強度を高める修復工程


足場での安全を確保しつつ、いよいよ本格的な屋根修繕に取り掛かります。
まずは、今回の不具合の原因となった破損した和瓦や、棟の頂部にある冠瓦(かんむりかわら)を慎重に取り外していきます。
瓦をめくると、昔の工法で接着剤の役割を果たしていた屋根土が現れますが、経年劣化で完全に乾燥し、ボロボロの状態でした。
新しい瓦を載せる前に、この役目を終えた土をすべて取り除き、土嚢袋に詰めて綺麗に清掃・処理を行います。
この下地を整える作業こそが、仕上がりを左右する重要な手間です。
清掃が完了した箇所から、新しい瓦への差し替え交換を行っていきます。
この際、従来の土の代わりに採用するのが南蛮漆喰(なんばんしっくい)です。
この漆喰は防水性と耐久性に優れており、瓦の強力な接着剤となるだけでなく、瓦の角度や高さを微調整する役割も果たします。
瓦の内部にこの漆喰を隙間なく塗り込むことで、風雨に強く、美しい屋根のラインへと仕上げていきます。
冠瓦交換と漆喰補修】瓦割れの衝撃による漆喰剥離も逃さず同時にメンテナンス


屋根の頂上部分にある冠瓦(かんむりかわら)についても、破損が見られた数本を新しいものへと交換しました。
役目を終えた古い瓦や廃材は、現場を汚さないよう土嚢袋に詰め、責任を持って適切に処理・搬出しています。
また、今回の現場で特に注視したのは「見えないダメージ」です。
瓦が割れた際の強い衝撃が周囲にも伝わっており、瓦の固定や防水の要である屋根漆喰の一部が剥がれ落ちていました。
こうした細かなひび割れや剥離を放置すると、そこが雨水の侵入経路となってしまいます。
そのため、瓦の交換と合わせて、傷んでいた漆喰部分を中心に塗り替え補修を丁寧に行いました。
目の前の破損だけでなく、その周辺に起きた影響までしっかりと処置することで、長く安心できる屋根へと仕上げています。
【完工報告】和瓦の差し替え修繕完了|写真による作業報告でご住職にも安心を


新しい和瓦への交換作業が終わり、破損して痛々しかった屋根の一部が、本来の整然とした美しい姿へと生まれ変わりました。
これにて、今回の本堂における屋根修繕工事は無事に完工となります。
作業終了後には、ご依頼いただいたご住職様へ完了報告を行いました。
屋根の上はお客様が直接上がって確認することが難しい場所です。
だからこそ、私たちは必ず施工中の写真をお見せしながら、「どのような処置を行い、どう直ったのか」を一つひとつ丁寧にご説明させていただいております。
撮影した記録写真をご覧になったご住職様からは、「落ちかけて危険だった瓦がなくなり、これでようやく安心できる」と、ホッと胸をなでおろしていらっしゃいました。
瓦の落下の危険を取り除き、皆様の不安を解消するお手伝いができたことを嬉しく思います。
今後も、地域の建物を守る担い手として、誠実な施工を続けてまいります。
FAQ(よくある質問)
Q1. お寺ではなく、普通の家の瓦屋根でも修理してもらえますか?
A. はい、もちろんです。
一般住宅の和瓦や洋瓦も構造は共通している部分が多く、今回のような専門的な技術を用いて丁寧に修繕いたします。
Q2. 瓦が1枚割れただけでも足場は必要ですか?
A. 屋根の勾配(傾斜)や高さ、作業内容によります。
安全が確保できる場合はハシゴ等で対応することもありますが、漆喰補修など精密な作業を伴う場合は、品質確保のために足場設置を推奨しています。
Q3. 「南蛮漆喰」とは普通の漆喰とどう違うのですか?
A. 従来の漆喰にシリコンや油分などを配合し、防水性と強度を飛躍的に高めた建材です。
土の代わりに使用することで、地震や風雨に強い屋根を作ることができます。
初動調査の雨漏り点検から作業の流れまでを施工事例で紹介しています↓↓↓













