名古屋市中川区【瓦屋根施工】築１００年屋根のいぶし瓦葺き施工！軒先・ケラバの美しい固定と台風・地震対策の乾式工法

writer by ヤマムラ建装株式会社　代表取締役　山村康輔

築100年邸のいぶし瓦葺き施工：美しさと耐久性を両立する現代の乾式工法と職人技

下地作りが完了し、いよいよ新しいいぶし瓦を屋根全体に葺き上げていく本番の施工に入ります。
重厚で美しい反面、施工に高度な技術が求められるいぶし瓦。
職人の腕が試されるこの作業は、単に瓦を並べるだけでなく、瓦のクセを見抜き、場所ごとに最適な方法で固定していく緻密さが不可欠です。

この記事では、美観を追求した「万十軒瓦」の施工から、地震や台風に強い屋根を作る「乾式工法」の固定技術まで、施工者のこだわりを徹底解説します。

【名古屋市中川区】築100年の屋根リフォーム！難易度高め？「いぶし瓦」施工と職人の技

名古屋市中川区にて進行中の、築100年を超えるお住まいの屋根リフォーム工事です。
前回、屋根の上に配置（上げ越し）したいぶし瓦を、いよいよ切妻屋根全体に一枚一枚丁寧に葺き上げていく本番の工程に入ります。

実は、今回使用しているこの和瓦は、重厚で美しい反面、施工には非常に高度な技術が求められます。
ただ並べるだけではなく、瓦のクセを見抜き、場所ごとに最適な方法で確実に固定していかなければ、長期的な耐久性は生まれません。

そのため、今回の現場では特に経験値が高く、伝統工法を熟知した職人さんが施工を担当しています。
施工者の腕が試される難しい瓦だからこそ、葺き上がった時の美しさは格別です。

前回の現場ブログはこちらから読み戻れます↓↓↓
『名古屋市中川区【瓦屋根上げ】屋根葺き替えで新しい瓦を屋根に運ぶ荷揚げ機作業を公開！安全・技術と瓦施工のための事前準備』
初動調査でもあるこちらの現場ブログの一番始まりはこちらから読めますよ↓↓↓
『名古屋市中川区【屋根目視点検】築100年の屋根雨漏り点検！瓦のズレや経年劣化を調査！葺き替え工事と部分修理の費用相場』

数あるデザインから選んだのはこれ！「万十軒瓦」で彩る軒先の美学

いよいよ本格的ないぶし瓦の施工が始まりました。
屋根工事の基本は「下から上へ」。
まずは屋根の最下部であり、地上から見上げた時に最も目立つ切妻屋根の「軒先部」から作業をスタートします。

ここには、平場（ひらば）の瓦とは異なり、雨水を適切に落とし、軒のラインを美しく見せるための「軒先瓦」と呼ばれる専用の部材を、一列分だけ横一文字に並べていきます。

実はこの軒先瓦、シンプルなものから家紋入り、繊細な植物の柄が入った意匠性の高いものまで、驚くほど多くの種類が存在します。
まさに家の個性を表現できるパーツと言えるでしょう。

今回、私たちが選定したのは、その中でも最も伝統的で、多くの日本家屋に愛されてきた「万十軒瓦（まんじゅうのきがわら）」というタイプです。
先端に丸い模様が入ったこの瓦を、経験豊富な職人さんが糸を引いたように真っ直ぐ、美しく取り付けていきます。
施工者の技術が光る軒先の一直線は、屋根全体の品格を一気に高めてくれます。

【地震・台風対策】瓦はなぜズレない？「爪」と「釘」で守る最新の「乾式工法」とは

和瓦の裏側を見たことがありますか？
実は、瓦の裏には「爪（つめ）」と呼ばれる突起がついています。
以前の工程で屋根に取り付けた桟木（さんぎ）という横木に、この爪をガッチリと引っ掛けながら一枚ずつ並べていくのが、現代の施工の基本です。

特に風の影響を一番受ける軒先瓦に関しては、引っ掛けるだけでなく、専用の穴に釘を二本打ち込み、物理的に外れないよう強固に固定していきます。
かつては「土」の粘着力で瓦を載せていましたが、現在は土を使わず、このように全て桟木と釘で固定する「乾式工法（かんしきこうほう）」が主流となっています。

屋根全体の重量を軽くしつつ、地震や強風でも瓦が落下・ズレを起こさない強い屋根を作る。
これが、私たち職人さんが実践する、安心・安全な現代の和瓦施工です。

【屋根の基礎知識】「軒先」「ケラバ」ってどこ？切妻屋根の4つの名称を解説

今回は、屋根工事の見積書や説明でよく耳にする「屋根の各部の名称」について少し解説します。
日本の住宅で最も一般的とされる、本を開いて伏せたようなシンプルな三角屋根。
これを建築用語で「切妻屋根（きりづまやね）」と呼びます。

この切妻屋根は、大きく分けて以下の4つの部位で構成されています。

1. 雨水が流れ落ちる屋根の最下部＝「軒先部（のきさきぶ）」
2. 屋根の両端（妻側）の端部＝「ケラバ袖部（そでぶ）」
3. 屋根の大部分を占める平らな面＝「平部（ひらぶ）」
4. そして、屋根の頂上にある棟＝「陸棟部（りくむねぶ）」

それぞれ「軒先瓦」「袖瓦」「桟瓦」など、使う瓦の種類も異なります。
「ケラバが傷んでいる」といった言葉が分かると、私たち施工者との打ち合わせもスムーズになりますが、もちろん専門用語をご存知なくても大丈夫です。
現地調査の際は、経験豊富な職人さんが指を差しながら分かりやすくご説明いたします。

【屋根の強風対策】端っこが大事！「ケラバ袖瓦」の取り付けとビス固定の秘密

軒先の施工が終わりましたので、次は建物に向かって右側の端にあたる「ケラバ袖部」の工事に移ります。
屋根の側面は風の抵抗を強く受ける場所です。
そのため、ここには「ケラバ袖瓦（大袖瓦）」と呼ばれる、Ｌ字型をした専用の瓦を使用します。

施工の手順は、水の流れに逆らわないよう、下の軒先部から頂上の陸棟部に向かって、階段を登るように一枚ずつ丁寧に取り付けていきます。
そして、ここからが私たち施工者のこだわりの工程です。

瓦を並べ終えたら、一枚ごとに穴を開け、建物の側面にあるケラバ袖破風板（はふいた）に向けて、強力なビス釘を打ち込んでガッチリと固定していきます。

ただ載せるだけでなく、建物本体と瓦をネジで一体化させることで、台風などの強風でもめくれ上がらない強い屋根が完成します。
これで右側の袖廻りの施工は完了です。
細部まで安全を追求する職人さんの確かな技術にお任せください。

次回の現場ブログはこちらから読み進めます↓↓↓
『名古屋市中川区【屋根瓦施工】築100年屋根の和瓦最終施工！強風対策のビス二段階固定と雨漏りを防ぐミリ単位の瓦加工職人技』