名古屋市中川区【瓦破損雨漏り】雨漏りトラブルを科学的に解決!サーモグラフィーと高所カメラで特定した屋根破損の真実
writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
名古屋市の雨漏り徹底調査!天井の染みの原因は屋根の施工不良だった

先日、名古屋市中川区にお住まいのお客様から、「二階の押入れの天井に、見慣れない雨染みを見つけました」と、切実なご相談をいただきました。
普段はあまり開け閉めしない場所だったため、お客様ご自身も気づかず、お子様が偶然発見されたとのことでした。
雨漏りは、このように日常生活のふとした瞬間に、突然その姿を現すことが少なくありません。
「天井に染みがあるけれど、一体どこから漏れているのか見当もつかない…」
そんなご不安を解消するため、まずは私たち専門スタッフがお客様のご自宅へ伺い、現状を把握するための初期調査を行いました。
これは、いわばお家の健康診断の第一歩。専門家の目で建物の状態を直接確認し、雨漏りの原因となりうる箇所の見当をつける大切な工程です。
この記事では、その初期調査から始まり、最新機材を駆使した原因究明、そして判明した衝撃の事実まで、名古屋市で実際に行った雨漏り調査の全貌を詳しくご紹介します。
目次
最新機材で雨漏りの原因を科学的に調査
サーモグラフィーカメラが見た天井裏の真実


後日、お客様のご都合の良い日時に改めて訪問し、本格的な雨漏り診断を開始しました。
問題の押入れ天井を詳しく確認すると、広がった雨染みの中央部分に、小さな亀裂が入っているのを発見。
これは、雨水が長期間にわたって浸入し、建材がダメージを受け始めている危険なサインです。
そこで、目には見えない天井裏の状況を正確に把握するため、専門機材である「サーモグラフィーカメラ」を投入しました。
※サーモグラフィーカメラとは?
物の表面温度の違いを色で表示する特殊なカメラです。
雨水が浸み込んで湿っている箇所は、健康な部分より温度が低くなるため、水の通り道や浸水の範囲を特定するのに絶大な効果を発揮します。
撮影した熱画像には、天井裏に雨水が溜まっている様子が青い影となってはっきりと映し出されました。
染みが広範囲にぼんやりと広がっているのではなく、一点から水が滴っていることが推測できます。
この結果から、雨漏りの直接的な原因は、この押入れの真上にあたる屋根にある可能性が極めて高いと判断しました。
このように科学的な根拠に基づいて調査を進めることで、憶測に頼らない的確な原因究明が可能になります。
安全第一!高所カメラを使った屋根点検

室内の調査で雨漏りの原因が屋根にあると絞り込めたため、次はその屋根の状態を直接確認します。
しかし、今回のお住まいは\セメント瓦」という種類の瓦屋根で、表面には長年の湿気で苔がびっしりと生えていました。
この湿った苔は非常によく滑るため、人が乗って歩くのは大変危険です。
また、無理に歩くことで瓦自体を割ってしまうリスクもありました。
そこで、お客様の大切なお住まいとスタッフの安全を最優先し、屋根に登る方法から、ドローンや高所撮影用の専用ポールカメラを使った調査へと切り替えました。
この方法なら、屋根に一切の負担をかけることなく、安全な場所から隅々まで鮮明に状態をチェックできます。
雨漏りしていた押入れの真上にあたる箇所を中心に、瓦のひび割れやズレ、屋根のてっぺん部分の劣化などがないか、モニター映像で入念に調査を進めます。
原因は「モニエル瓦」の亀裂と不適切な補修跡

高所カメラが捉えた映像を詳しく分析した結果、ついに雨漏りの直接的な原因箇所を発見しました。
原因はモニエル瓦(※)という種類のセメント瓦の破損でした。
※乾式洋瓦とも呼ばれる、セメントを主成分とした瓦の一種です。
映像を拡大すると、2枚の瓦に問題があることが判明。
1枚は、過去にコーキング材(※)のようなもので補修された跡がありましたが、残念ながら処置が不十分で、防水の役割を果たしていませんでした。
※建物の隙間を埋めるための、ゴム状の防水材のことです。
そしてもう1枚の瓦には、縦に一本の深い亀裂が走り、その影響で瓦自体がわずかにズレてしまっていました。
この亀裂とズレによって生じた隙間が雨水の主要な浸入口となり、階下の天井に被害を及ぼしていたのです。
雨漏りの根本原因は新築時の施工不良だった?
見えない部分の手抜き工事が招いた悲劇

高所カメラの映像は、さらに根深い問題を私たちに示唆していました。
雨漏りの根本的な原因は、なんと「新築時の施工」にあった可能性が浮かび上がってきたのです。
破損していたのは、ケラバ(※)と呼ばれる屋根の端の部分でした。
※屋根の側面、外壁から出っ張っている部分のことです。
屋根の広い面を覆う「平瓦」が割れているにもかかわらず、本来行うべき瓦の交換ではなく、防水効果の低いコーキング材で表面だけを接着したような、不適切な処置がされていたのです。
なぜこんなことが起きたのか。
私たちの推測では、新築工事の終盤、屋根の端にある「袖瓦」を取り付けた後に何らかの理由で平瓦を破損させてしまったのでしょう。
正規の手順で直すには袖瓦を一度外す必要がありますが、その手間を惜しみ、安易な補修で済ませてしまったと考えられます。
誰にも気づかれなかった「踏み割れ」の恐怖

不適切な補修がされた瓦の隣で、さらに深刻な状態の瓦がもう一枚見つかりました。
こちらは何の処置もされず、割れた破片が屋根の上に引っかかり、いつ落下してもおかしくない危険な状態でした。
このような破損は、工事の最終工程で作業員が屋根の上を歩いた際に発生する踏み割れが原因の多くを占めます。
お客様からは見えない屋根の上だからこそ、こうした施工中のトラブルが報告されないまま、お住まいが引き渡されてしまうケースは決して少なくありません。
この小さなひび割れが、十数年という長い時間をかけて雨水を内部に浸透させ、今回の深刻な雨漏りを引き起こしたのです。
【緊急事態】調査中に発覚したもう一つの重大な欠陥
落下寸前!屋根の端「ケラバ」の異常なズレ

当初の雨漏り調査を進めている最中、私たちは別の緊急性の高い問題を発見しました。
地上から屋根全体を見上げた際、屋根の側面部分である「ケラバ」の瓦が一列まるごと、外側へズレ落ちそうになっていたのです。
この「ケラバ袖瓦」は、建物の壁を風雨から守る重要なパーツです。
もし落下すれば、下にいる人や車を傷つける大事故につながりかねません。
防水の要「水切り板金」がないという致命的な欠陥

ズレてしまった瓦の下を詳しく調査すると、このお住まいの構造的な欠陥が明らかになりました。
通常、ケラバ部分の瓦の下には水切り板金という金属製の防水部材を設置するのが正規の工法です。
これは、万が一瓦の隙間から雨水が入っても、内部に到達する前に安全に外へ排水するための「第二の防水層」です。
しかし、このお住まいには、命綱ともいえる水切り板金が、新築時にそもそも取り付けられていなかったのです。
その結果、隙間から入った雨水が何の妨げもなく屋根の下地材を濡らし続け、木材が腐食。
腐った下地は釘を固定する力を失い、瓦が重さに耐えきれずズレ落ちかけていた、というのが事の真相でした。
調査結果のご報告と最適な修理プランのご提案

私たちは、これら一連の調査で判明した雨漏りの原因と建物の状態を、写真や映像をお見せしながらお客様に詳しくご説明いたしました。
- モニエル瓦の亀裂と不適切な補修
- 新築時の踏み割れの放置
- 落下寸前のケラバ瓦のズレ
- 致命的な防水部材(水切り板金)の欠如
原因を正確に突き止めた上で、お客様のご予算や今後のメンテナンス計画に合わせて、3パターンの修理方法とそれぞれのお見積もりをご提案させていただきました。
天井の小さな染みから始まった今回の調査は、お住まいに隠された複数の重大な問題を発見するきっかけとなりました。
少しでも異常を感じたら、被害が広がる前に、ぜひ一度私たち名古屋市の屋根・住宅のプロにご相談ください。
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