writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
雨の日に「滝」のような水が…。雨樋の機能不全を疑うサイン
名古屋市港区にお住まいのお客様より、「雨が降ると、軒先から水がバシャバシャと溢れてくる」というご相談をいただき、現地調査へ伺いました。
築年数が30年ほど経過したお住まいでは、こうした雨樋のトラブルが非常に多くなります。
雨樋から水が溢れる現象を「オーバーフロー」と呼びますが、これを「ただ水が溢れているだけ」と軽く見てはいけません。
溢れた水が外壁を濡らし続けることで、ひび割れからの雨漏りや、地面の跳ね返りによる基礎の汚れなど、建物の寿命を縮める二次被害に繋がるからです。
今回は、一見すると「ゴミ詰まり」に見えるトラブルの裏に隠れていた、構造的な原因について詳しくレポートします。
軒先から水が溢れる「オーバーフロー」の確認

まずは、お客様がお困りの現象を外観から確認します。
屋根の軒先に設置された横樋(軒樋)から、雨水がスムーズに流れず、途中で堰き止められたように溢れ出してしまうとのことでした。
雨樋は本来、屋根に降った雨水をスムーズに集め、地面の排水溝へと流すための「川」の役割を持っています。
しかし、どこかでその流れが滞ると、行き場を失った水が許容量を超えて溢れ出します。
特に築年数が経過した建物では、長年の紫外線や風雨の影響で、雨樋自体が変形したり、支持金具が弱ったりしているケースが多々あります。
まずは梯子をかけて、高いところにある雨樋の中身を直接目で見て確認する必要があります。
目次
横から見て判明した「雨樋のたわみ」

雨樋と同じ高さまで上がり、横からのライン(通り)を確認しました。
すると、明らかに異常な状態が見て取れました。
雨樋の真ん中付近が、下へ下がってしまっているのがお分かりいただけるでしょうか。
雨樋には本来、水を集水器(排水口)へ流すための計算された傾斜、いわゆる「勾配(こうばい)」が付けられています。
しかし、何らかの原因で一部が下がってしまい、逆に水が溜まる「逆勾配」や、水が動かない「水平状態」になってしまっています。
これでは水が流れるはずがありません。
人間の血管といっしょで、流れが悪くなればそこに老廃物が溜まるのは自然の理です。

点検のポイント
雨樋の不具合は、下から見上げているだけでは気づきにくいものです。
今回のように「横から水平を見る」ことで、初めて微妙な歪みやたわみに気づくことができます。
流れずに溜まり続ける「水たまり」

今度は雨樋の中を覗き込んでみました。
やはり、先ほど外側から見て「下がっている」と判断した部分に、たっぷりと雨水が溜まっていました。
今日は晴天ですが、数日前の雨が乾ききらずにこうして残っているのです。
ここが「水たまり」になってしまっているため、新しく降ってきた雨水もここでブレーキがかかり、勢いを失って溢れ出してしまいます。
また、常に水がある状態は、雨樋の素材(塩ビなど)の劣化を早めるだけでなく、ボウフラなど害虫の発生源にもなりかねず、衛生的にも良くありません。
雨樋の勾配不良とは?
本来あるべき傾斜がなくなり、水が滞留してしまう状態。
ゴミが詰まっていなくても、この「形」が変わってしまうだけで、雨樋は機能しなくなります。
水だけではない、「ヘドロ」の堆積

溜まっていたのは水だけではありませんでした。
底の方をよく見ると、屋根から流れてきた土埃(つちぼこり)やコケ、花粉などが水と混ざり合い、ドロドロのヘドロ状になって沈殿しています。
これが厄介なのは、「重さ」を増幅させることです。
最初はわずかなたわみだったかもしれませんが、そこに水が溜まり、さらにヘドロが溜まることで重量が増し、その重みでさらに雨樋が下がる…という「負のスパイラル」に陥っています。
ただ掃除をしてヘドロを取り除いただけでは、雨樋の形(勾配)が戻らない限り、次の雨でまた同じことが繰り返されてしまいます。
- 劣化の悪循環
- 1.支持金具が緩んで雨樋が少し下がる
- 劣化の悪循環
- 2.水が流れずに溜まる
- 劣化の悪循環
- 3.土埃が沈殿してヘドロ化する
- 劣化の悪循環
- 4.重みでさらに雨樋が下がる(今ここ)
根本原因の特定!「固定釘」の抜け

なぜ雨樋が下がってしまったのか?
その根本原因を突き止めました。
雨樋を支えている金具(樋吊り器)を固定している「釘」が、半分以上抜けて飛び出してしまっています。
築30年という歳月の中で、風による振動や、先ほどご説明したヘドロや水の重みに耐えきれなくなり、木材(鼻隠し板)から釘が浮いてしまったと考えられます。
たった一本の釘ですが、ここが支えを失ったことで雨樋全体が下がり、オーバーフローという大きなトラブルを引き起こしていたのです。
修理としては、単に打ち直すだけでなく、より保持力の高い「ビス」への交換や、固定位置の補強が必要になります。
集水器(排水口)周りの点検

念のため、水が落ちていく最終地点である「集水器(しゅうすいき)」周りも点検しました。
こちらは目立った詰まりや破損は見当たりません。
もしここに落ち葉などが詰まっていれば、それがオーバーフローの原因になりますが、今回はここはきれいです。
これにより、今回のトラブルの原因は「全体的な詰まり」ではなく、「一部分の勾配不良(たわみ)」に限定されることが確定しました。
原因箇所がピンポイントで特定できれば、無駄な工事をせず、必要な部分だけを的確に直すことができます。
診断結果
- 集水器: 異常なし
- 竪樋: 異常なし
- 軒樋: 中央部に著しい「たわみ」と「ヘドロ堆積」あり
- 原因: 樋吊り金具の固定釘抜け
反対側の雨樋も念入りにチェック

最後に、トラブルが起きていない反対側の雨樋や、他の面の排水システムも一通り確認を行いました。
現在は問題なく流れているようですが、築30年という条件は同じですので、今後同様に釘が浮いてくる可能性は十分にあります。
今回は、不具合が起きている箇所の修理お見積もりを作成し、お客様にご報告させていただきました。
雨樋の修理は、「全部取り替える」だけが正解ではありません。
今回のように「金具の調整」や「部分的な補修」で機能が回復する場合もあります。
代表・山村の想い

「雨樋から水が溢れる」というご相談でしたが、蓋を開けてみれば「釘一本の緩み」が原因でした。
しかし、これを放置すれば外壁を傷め、家の寿命に関わる問題に発展していたでしょう。
家のトラブルは、早期発見ができれば「大手術」をせずに済みます。
「最近、雨だれがひどいな」と感じたら、私たちが駆けつけますので、お気軽にご連絡ください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 釘が抜けているだけなら、自分で打てば直りますか?
A1. おすすめしません。一度抜けた穴は広がっているため、同じ釘を打ってもすぐに抜けてしまいます。また、雨樋の勾配(傾斜)を水準器などで測りながら調整する必要があり、専門的な技術が必要です。
Q2. 部分修理と全交換、どちらがいいですか?
A2. 状態によります。今回のように「一部の金具不良」だけで、雨樋自体の弾力性が残っていれば部分修理がお得です。しかし、雨樋が割れていたり、全体的に硬化して脆くなっている場合は、全交換をおすすめすることもあります。
Q5. 火災保険は使えますか?
A5. 台風や雪などの「自然災害」が原因で雨樋が歪んだり外れたりした場合は、火災保険が適用される可能性があります。今回は経年劣化の要素が強いため判断が分かれますが、申請のサポートも可能ですのでご相談ください。

名古屋市南区を中心に、名古屋市と近郊都市で活動する「ヤマムラ建装株式会社」5代目の山村です。
創業100年以上の技術を受け継ぎ、雨漏り修理から外壁塗装まで、すべて私が責任を持って担当します。
最近やり始めた趣味はゴルフと筋トレ。
お客様の「困った」を解決し、笑顔にするのが私の仕事です。
【保有資格】かわらぶき技能士・ 増改築相談員/ 【趣味】ゴルフ・筋トレ
【名古屋市港区】と同じ地域の現場施工事例
※書いたブログの地域に変更してください。操作が必要です。
各地域での点検やメンテナンスを行ったブログ記事

お問い合わせ
点検調査などのご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

