writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
天井のシミ、ただの汚れではありません!屋根の上で起きていた「金属の悲鳴」


「天井のシミがだんだん濃くなってきて…」
名古屋市瑞穂区のお客様より、不安なご相談をいただきました。
駆けつけて調査すると、屋根の谷間にある銅板に無数の穴が!
これは、酸性雨の影響で銅板が溶ける現象です。
見えない屋根裏で進行していた腐食の実態と、プロの診断結果をレポートします。
1990年代以前の家に多い「銅板の谷樋」の穴あきに要注意

室内の雨漏り状況を確認後、屋根に登り原因箇所の特定調査を行いました。
室内のシミの位置と屋根の形状から、雨水の浸入口は屋根の谷部分にあると推測していましたが、やはり原因はそこにありました。
屋根の谷に設置された「谷樋(たにどい)」と呼ばれる金属板に、経年劣化による小さな穴が開いていたのです。
これは1990年代前半以前の建物で多く使われていた銅板製の谷樋で、長年雨水が集中して流れることで酸性雨などの影響を受け、腐食して穴が開いてしまうという典型的な事例です。
もし、1990年代前半以前に建てられたお住まいで、屋根に谷部がある場合は、同じようなリスクを抱えている可能性が非常に高いです。
原因報告から谷樋交換工事までの流れを解説


雨漏りの原因が谷樋の穴であることを特定し、点検時に撮影した写真をお見せしながらお客様に分かりやすくご説明しました。
修理のご提案として、劣化した谷樋を耐久性の高い新しいものへ交換する工事と、関連する棟の補修工事のお見積もりを提出し、後日、正式にご依頼をいただきました。
契約を取り交わし、日程調整を経ていよいよ工事開始です。
まず、問題の谷樋周りの屋根瓦を一枚ずつ丁寧に外していきます。
すると、原因箇所とは別の部分にも、経年劣化による新たな穴が開き始めているのを発見しました。
やはり部分的な補修ではなく、谷樋全体を交換するという私たちの判断が正しかったことが証明された瞬間です。
防水紙の下で進行していた屋根下地の腐食


谷樋(たにどい)を取り外すと、その下の防水紙に、雨水が流れた跡がくっきりと残っていました。
これは、谷樋の穴から雨水が屋根の内部に侵入していた動かぬ証拠です。
さらに調査を進めるため防水紙を一部めくってみると、私たちが最も懸念していた事態が起きていました。
屋根の土台となる木材の「野地板(のじいた)」が、長年の雨水浸入によって黒く変色し、腐食し始めていたのです。
天井のシミという目に見える被害の裏側で、お住まいの構造を支える重要な部分が静かに蝕まれていました。
この状態を放置すれば、大規模な修繕が必要になる可能性もあります。
雨漏りは、表面的な修理だけでなく、隠れた被害まで徹底的に調査し、根本から解決することが、お住まいを長持ちさせるために不可欠です。
棟の解体作業と、瓦の再利用について


谷樋(たにどい)を完全に入れ替えるため、隣接する隅棟(すみむね)も部分的に解体していきます。
この作業は、ただ壊すのではなく、後で美しく復元するための重要な工程です。
まず、棟を形成している「のし瓦」を、一段ずつ、一枚ずつ丁寧に手作業で取り外していきます。
取り外した瓦は、後の復旧作業で再び使用するため、破損しないよう安全な場所に大切に保管します。
再利用できる建材を活かすことは、質の高い修理を適正な価格でご提供するために不可欠です。
一方で、瓦の下から出てくる古い「屋根土」は、現代の工法では使用しません。
すべて綺麗に取り除き、土嚢袋にまとめて適切に処理します。
棟を復旧する際は、この屋根土の代わりに、より防水性と耐久性に優れた専用の漆喰を使用し、以前よりも強固な棟を再生します。
【屋根修理の品質を左右する】見えない部分へのこだわり、徹底した下地処理

棟瓦を撤去した後、さらにその土台となっていた古い屋根土と漆喰を完全に除去していきます。
この作業は、新しく再生する棟の強度と寿命を左右する、非常に重要な工程です。
古い土を細かな塵ひとつ残さないよう、丁寧に清掃しながら土嚢袋に詰めて屋根から降ろします。
特に、棟の中心線となる部分は、後から塗り込む新しい漆喰がしっかりと密着するように、徹底的に綺麗にしなければなりません。
もし、この下地処理を疎かにして古い土が残っていると、新しい漆喰がうまく接着せず、せっかくの修理も長持ちしません。
美しく頑丈な仕上がりは、見えない部分の丁寧な下準備から生まれます。
私たちは、お客様に長期的な安心をお届けするため、この地道な作業にこそ全力を注いでいます。
FAQ(工事に関するよくある質問)
天井にシミがあるだけで修理が必要?
はい。シミが出ている時点で、屋根裏にはかなりの水が浸入しています。放置するとカビやシロアリの原因になり、建物の寿命を縮めます。
なぜ銅板に穴が開くのですか?
昔の銅板は「一生モノ」と言われましたが、近年の酸性雨の影響で、築20〜30年程度で腐食し、穴(ピンホール)が開くケースが急増しています。
調査で瓦をめくっても大丈夫?
経験豊富な職人が、元に戻せる範囲で慎重にめくって確認します。下地(防水紙や野地板)の状態を見ないと、正しい修理方法が判断できないため必須の工程です。
次回の現場ブログ記事の内容は?
同じ地域で行った施工事例記事!
類似した作業で施工した現場ブログ記事!

お問い合わせ
点検調査などのご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください








