名古屋市瑞穂区 築30年超のセメント瓦屋根・手抜き工事と劣化で雨漏りの危機!修理と葺き替えを徹底解説

「築35年超の我が家、最近屋根の瓦がずれているのが気になる…もしかして雨漏り寸前?」
そんな不安を感じているあなたへ。
この記事では、セメント瓦屋根の劣化と手抜き工事の実態、そして雨漏りを防ぐための対策を徹底解説します。
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『名古屋市瑞穂区 築30年超の家必見!切妻屋根のケラバ袖瓦の落下と雨漏り原因と対策を徹底解説』
目次
築30年超のセメント瓦屋根、雨漏り対策と修理のポイント

【名古屋市瑞穂区にお住いのお客様から、「屋根の一部が落ちかけている」と緊急のご連絡をいただきました。
現場に駆けつけて確認したところ、屋根の端にあるケラバという部分の瓦が、まさに落下寸前の状態でした。
さらに詳しく調べてみると、棟瓦(屋根の頂上にある瓦)にもズレが見つかり、雨漏りの心配がありました。
実は、お客様のお宅は以前にも屋根の工事をされたそうです。
だが、その時の工事も少し気になる点があったため、今回の棟瓦のズレも、もしかしたら何か問題があるのではないかと思い、お客様にご相談の上、屋根全体の点検をさせていただくことになりました。
特に注意して点検したのは、瓦の一番上にある冠棟瓦(かんむりむねがわら)という部分です。
点検を始めてすぐに、私たちは驚きました。
この屋根を施工した業者は、本当に屋根の専門家だったのだろうかと疑問に思うほど、ずさんな工事がされていたのです。
隅棟と呼ばれる、屋根の角の部分の冠棟瓦が、本来あるべき位置から大きくずれて、屋根の先端の方に飛び出していました。
その結果、冠棟瓦同士の間に大きな隙間ができてしまっていたのです。
これほどの隙間があれば、雨水が簡単に屋根裏に入り込んでしまい、雨漏りを引き起こすことは間違いありません。

さらに詳しく見ていくと、棟瓦同士が重なっている部分で、色の違いがはっきりと分かるところがありました。
そこだけ、まるで日焼けしたように色が褪せていたのです。
これは、棟瓦がずれて、重なり合っていた部分がずれてしまった証拠です。
本来重なり合っているはずの部分がずれてしまったことで、今まで隠れていた部分がむき出しになり、そこだけ色が褪せてしまったのです。
色の違いがくっきりと分かれているということは、それだけ大きな幅で棟瓦がずれているということを示しています。
棟の冠瓦がズレ落ちてしまった原因として

棟瓦がずれてしまった原因の一つとして、棟瓦の固定方法に問題がありました。
本来、棟瓦には固定用の穴が開けられているのですが、この屋根では、その穴を利用して、針金で縛って固定していたのです。
しかし、30年以上前に使われていた針金は、現在のようなビニールで覆われたものではなく、普通の針金でした。
そのため、長年の間に錆びて劣化し、針金自体が細く伸びてしまったのです。
細く伸びてしまった針金では、棟瓦をしっかりと固定できず、ずれてしまうのは当然です。
30年以上前の住宅では、まだ針金がビニールで覆われていなかったため、このような針金の劣化はよく見られました。
現在では、針金は必ずビニールで覆われたものが使われるようになっています。

本来、棟瓦はパッキン付きの釘やビスでしっかりと固定するのが一般的な工法です。
しかし、この屋根では針金で固定されており、正直、このような施工は考えられません。
当時の分譲住宅は、注文住宅に比べて販売価格が安く設定されていました。
そのため、元請けの業者が利益を優先し、下請けの業者にしわ寄せがいくことが多かったようです。
その結果、下請けの業者はどうしても手間を省いた、いわゆる手抜き工事をせざるを得なかったのではないかと推測されます。
もちろん、当時のすべての分譲住宅がそうだったわけではありません。
一部の分譲住宅で、このようなずさんな工事が行われていたと考えられます。
冠瓦の施工方法が間違っています

棟瓦の土台となる木材が、棟瓦の隙間から見えていました。
本来、この土台木は雨水から守るために、防水シート(ルーフィング)や漆喰で覆われているはずなのですが、この屋根ではむき出しの状態でした。
これでは、雨水が直接土台木に染み込んでしまい、腐食してしまうのは時間の問題です。
本当に、どこを見ても突っ込みどころ満載の施工です。
さらに、屋根の平らな部分に使われている平瓦も、全体的に強度が低下しており、ひび割れや欠けが見られました。
そのため、今回の工事は、応急処置的な修理しかできない可能性が高いです。
セメント瓦とは?屋根材としての耐久度はあるの?

セメント瓦が広く使われるようになったのは、戦後の住宅不足を解消するため、復興用の屋根材として注目されたのが始まりでした。
その後、1970年代から1990年代前半にかけて、さらに強度を高めたセメント瓦が普及しました。
当時の住宅では、主流だった陶器瓦(J形)に比べて、セメント瓦は価格が安かったため、分譲住宅やローコスト住宅で多く採用されたのです。
セメント瓦の主なメリットは、以下の2点です。
- 陶器瓦に比べて、少し軽いため、建物への負担が少ない
- 陶器瓦に比べて、価格が安いため、初期費用を抑えられる

セメント瓦には、残念ながらいくつかのデメリットもあります。
- 耐久性が低く、寿命が短い
- 色褪せや苔が発生しやすく、7~10年ごとの定期的な塗装が必要
- 一部の製品には、健康被害が懸念されるアスベストが含まれている
先ほど、セメント瓦のメリットとして「陶器瓦よりも価格が安い」という点をお伝えしました。
しかし、セメント瓦は耐久性が低いため、頻繁な塗り替えが必要です。
長い目で見ると、初期費用が高くても、耐久性の高い陶器瓦を選ぶ方が、メンテナンス費用を抑えられ、結果的にメリットが大きくなる場合もあります。
このような理由から、セメント瓦は次第に使われなくなり、現在では製造もほとんどされていません。
そのため、もしセメント瓦が割れてしまっても、同じものを見つけるのは非常に困難です。
今回のケースでは、応急処置的な修理で一時的にしのぐか、屋根全体を新しい瓦に葺き替える大規模なリフォームを行うかの、どちらかになる可能性が高いです。

棟瓦を固定するために、もともと開いていた釘穴を流用して、針金を通していました。
本来、釘で固定すべきところを針金で固定していたわけです。
そして、針金を通した穴から雨水が侵入しないように、コーキング材で穴を埋めていました。
しかし、新築当時からそのままの状態だったため、コーキング材も経年劣化でひび割れ、防水効果がなくなっていました。
【お客様へのご報告】
屋根の点検後、お客様に現在の屋根の状態を、スマートフォンで撮影した写真を見ながらご説明しました。
そして、お客様の状況に合わせて、以下の2つの修理方法をご提案しました。
- 応急処置:とりあえず棟瓦を正しい位置に戻し、雨水が侵入しないように修理する
- 全面リフォーム:屋根全体のセメント瓦を新しい瓦に葺き替える
それぞれの修理方法について、お見積もりを作成し、お客様にお渡ししました。
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『名古屋市瑞穂区 針金で緊結屋根修理!経年劣化による隅棟を中心に棟冠瓦のズレを徹底修復!防水処理で安心』
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