writer by ヤマムラ建装株式会社 代表取締役 山村康輔
天井板が剥がれ落ちるほどの雨漏り。その裏にある「複合的な原因」とは
名古屋市港区にお住まいのお客様より、「雨漏りがひどく、ついに天井の板が剥がれ落ちてきた」という緊急性の高いご相談をいただき、直ちに現地へ急行しました。
雨漏りは、初期段階では壁のシミ程度で済むこともありますが、放置したり、気づかない場所で進行したりすると、建物の骨組みそのものを腐らせ、今回のように天井崩落という危険な状態を引き起こします。
今回の現場は、今はもう生産されていない「セメント瓦」の劣化と、過去に行われた「増築」による構造的な歪みが複雑に絡み合っていました。
なぜここまでの被害になってしまったのか。
お客様の安心を取り戻すため、徹底的な目視調査で原因を究明していきます。
【室内】水を含んで捲れあがった天井板

まず室内の状況を確認して言葉を失いました。
写真は和室の天井部分ですが、雨水を長期間にわたって吸い込み続けた化粧合板(天井板)が、ふやけて接着力を失い、ベロリと剥がれ落ちてぶら下がっている状態です。
木材は水を含むと膨張し、腐朽菌(ふきゅうきん)が繁殖して脆くなります。
この剥がれ方は、昨日今日始まった雨漏りではなく、数ヶ月、あるいは数年単位で屋根裏への浸水が繰り返されていたことを物語っています。
お客様にお話を伺うと、「最初はシミだけだったが、ある日の大雨で一気に板が垂れ下がってきた」とのこと。
天井裏の断熱材や下地木材も相当な水分を含んでおり、いつ頭上に落下してきてもおかしくない、非常に危険な状態です。
目次
【室内】垂れ下がる天井が物語る「限界」

別の角度から撮影した天井の様子です。
まるで暖簾(のれん)のように天井板が垂直に垂れ下がっています。
ここまで変形してしまうと、乾燥させたとしても元に戻ることはありません。
張り替え工事が必須となります。
この状態を見て、「ただ天井を直せばいい」と考えるのは間違いです。
天井はあくまで「被害を受けた結果」であり、「原因(水の入り口)」を屋根の上で完全に断たない限り、新しい天井板を貼っても、次の雨でまた同じように腐ってしまいます。
室内の被害状況から、雨水の落下地点を予測し、この真上にあたる屋根部分に重大な欠陥があることを確信しました。

「ここまで漏れるということは、瓦のズレというレベルではないかもしれない。
もっと大きな穴や、構造的な欠陥があるはずだ」と予測を立て、屋根に上がる準備を整えます。
【屋根裏】増築部分の「隙間」を発見

天井板の隙間から、建物の構造内部(壁の裏側)を確認しました。
ここで一つ目の大きな原因が見えてきました。
写真は、母屋(もや)と呼ばれる元々の建物と、後から付け足した増築部分の接続箇所です。
矢印で示した部分をご覧ください。
本来なら密着していなければならない壁と柱の間に、隙間が開いてしまっています。
増築工事は、既存の建物と新しい建物を繋ぐため、非常に高度な技術と防水処理が求められます。
しかし、経年による地盤の変動や、木材の収縮によってこのように隙間が生じ、そこが雨水の「通り道」となって室内へ水を呼び込んでしまうケースが後を絶ちません。
増築リフォームの盲点
- 現象: 既存部と増築部のジョイント(継ぎ目)が開いている
- 原因: 地震や経年劣化による建物の動きの違い
- リスク: 隙間からの雨水侵入、小動物の侵入
【室内】2階天井にも広がる雨染みの地図

調査範囲を広げ、2階の部屋も確認しました。
1階だけでなく、2階の天井板にも広範囲にわたって黒ずんだ雨染みが地図のように広がっています。
一部はすでに腐食が進み、波打って崩れかけ始めていました。
2階で雨漏りしているということは、その上の「大屋根(一番上の屋根)」に原因があることは明白です。
天井板に残るシミの濃淡を見ることで、「どこから水が流れてきているか」ある程度のルートを推測できます。
中央の桁(けた)に沿ってシミが濃くなっていることから、屋根の頂上付近や、谷板金(たにばんきん)周辺からの漏水が疑われます。
雨漏りのサインを見逃さないで
- 天井のクロスが剥がれてきた
- 部屋に入るとカビ臭い
- サッシの周りが濡れている
- 押し入れの中が湿っぽい
【室内】バケツで受け止める日々のストレス

お部屋の一角には、雨水を受け止めるためのバケツがいくつも置かれ、周囲には新聞紙が敷き詰められていました。
お客様は雨が降るたびに、このバケツの水量を確認し、溢れないように水を捨てる作業を繰り返されていたそうです。
夜中に雨音が気になって眠れないこともあったとお聞きしました。
家は本来、雨風をしのぎ、安らぎを得る場所です。
それがこれほどのストレス源になってしまっている現状を、一刻も早く解消しなければなりません。
この光景を見て、私たちの使命は単なる「修理」ではなく、「安心して暮らせる日常を取り戻すこと」だと改めて強く心に刻みました。

応急処置のアドバイス
バケツの中に雑巾やタオルを入れておくと、「ポタポタ」という水滴の跳ね返り音を消すことができ、周囲への飛び散りも防げます。
修理までの間の小さな工夫です。
【屋根裏】「無理な増築」が生んだ構造的欠陥

屋根裏(小屋裏)の調査で、驚くべき光景を目にしました。
なんと、元々の屋根の先端(軒先)が、増築した建物の「室内側」に入り込んでいるのです。
これは「被せ(かぶせ)増築」などで見られる施工ですが、適切な雨仕舞(あまじまい)が行われていない場合、「元々の屋根に降った雨が、そのまま増築部分の壁の中や天井裏に流れ込む」という最悪のルートが出来上がってしまいます。
写真の矢印部分、屋根の先が壁の中に消えていますが、ここが密閉されておらず、外部と繋がってしまっています。
これでは雨が降れば確実に漏れてしまいます。
【屋根上】寿命を迎えた「セメント瓦」の実情

ようやく屋根の上に上がりました。ここからは高所での目視点検です。
使用されているのは「セメント瓦(厚型スレート)」です。
かつては多くの住宅で使われていましたが、現在はほとんどのメーカーで廃盤となっており、新しい瓦を手に入れることが困難な屋根材です。
表面の塗装は完全に落ち、セメントの素地がむき出しになっています。
こうなると瓦自体が水を吸い込みやすくなり、冬場の凍結などで割れやすくなります。
全体的に波打つようなズレも見られ、屋根としての防水機能はすでに寿命(限界)を迎えていると言わざるを得ません。
セメント瓦の特徴
- 素材: セメントと砂を混ぜて成形したもの
- 寿命: 約30年~40年(塗装メンテナンス必須)
- 現状: 廃盤品のため、1枚だけの交換修理が難しい
【屋根上】瓦がズレて「下地」が丸見えに

屋根全体を細かくチェックしていくと、致命的な箇所を発見しました。
セメント瓦が大きくズレて割れており、その下の野地板(のじいた=屋根の土台となる木材)が完全に見えてしまっています。
通常、瓦の下には「防水シート(ルーフィング)」があるはずですが、長年の劣化でボロボロになり、機能を失って消失しているようです。
これでは、瓦の隙間から入った雨水が、遮るものなくダイレクトに屋根裏へ、そしてお客様の部屋へと降り注ぎます。
バケツが必要になるほどの雨漏りの原因の一つは、間違いなくここです。
- 雨漏りのメカニズム
- 1.瓦の破損: 経年劣化で瓦が割れる・ズレる
- 雨漏りのメカニズム
- 2.防水層の消失: 下の防水シートが破れている
- 雨漏りのメカニズム
- 3.直撃: 雨水が野地板(木材)を直撃し、腐らせる
- 雨漏りのメカニズム
- 4.室内への浸入: 腐った木材を通り抜け、天井板へ到達
【屋根上】谷樋の穴と「不適切な補修」の痕跡

屋根の面と面がぶつかり、雨水が集中して流れる「谷樋(たにどい)」部分です。
ここも酷い状態でした。本来は板金(金属)で施工される場所ですが、過去に誰かが簡易的な補修をしたのか、何やら別の素材(樹脂やテープのようなもの)が貼られており、それが劣化してボロボロに破れています。
その隙間からは、大きな穴が口を開けていました。
谷樋は「屋根の川」です。
雨水が最も集まる場所に穴が開いていれば、それはもう「漏斗(じょうご)」で家の中に水を注いでいるのと同じです。
板金の腐食(サビ)も進行しており、部分的なコーキング修理では追いつかない状態です。
推奨される修理方法
錆びて穴の開いた谷樋は、交換が必要です。
現在は錆に強い「ステンレス」や「ガルバリウム鋼板」への交換が一般的で、耐久性が格段に向上します。
【屋根上】増築の弊害。埋まらない「大きな隙間」

調査の最後に、最も深刻な箇所を確認しました。 増築部分と既存屋根の取り合い部分に、拳が入るほどの巨大な隙間が開いています。
無理な増築によって屋根の勾配(角度)や瓦の納まりに無理が生じ、経年劣化とともに瓦が動き、このような大穴が開いてしまったと考えられます。
奥は暗くて底が見えませんが、ここから入った水が壁の中を伝い、1階の天井を腐らせていた主犯格でしょう。
ここまで来ると、瓦を並べ直すだけでは対処できません。
周辺の瓦を一度撤去し、板金加工で新しい防水の道を作り直す大規模な改修が必要です。
代表・山村の想い

「雨のたびにバケツを変える生活」は、本当にお辛かったと思います。
今回の調査で、セメント瓦の寿命と増築部分の構造欠陥という、根本的な原因が全て明らかになりました。
これでもう「原因不明の不安」からは解放されます。
難易度の高い工事になりますが、建物の構造を熟知した私たちが、二度と水が入らないよう頑丈に直します。
FAQ(よくある質問)
Q1. セメント瓦はもう手に入らないのですか?
A1. はい、ほとんどの製品が廃盤となっており、新品の入手は困難です。
数枚程度の交換なら中古在庫で対応できることもありますが、今回のように全体が劣化している場合は、ガルバリウム鋼板などの新しい軽い屋根材への「葺き替え」をおすすめします。
Q2. 天井が落ちてきそうで怖いのですが、どうすればいいですか?
A2. まずはその部屋の使用を中止し、家具などを移動させてください。
落ちてきた天井材には釘が含まれていることもあり危険です。
私たちが伺うまで、無理に触らないようにしてください。
Q3. 増築した部分からの雨漏りは直せますか?
A3. 可能です。
ただし、構造が複雑になっていることが多いため、単なる屋根工事だけでなく、板金工事や大工工事を組み合わせた複合的な技術が必要です。
弊社はリフォーム全般に対応できますのでご安心ください。

名古屋市南区を中心に、名古屋市と近郊都市で活動する「ヤマムラ建装株式会社」5代目の山村です。
創業100年以上の技術を受け継ぎ、雨漏り修理から外壁塗装まで、すべて私が責任を持って担当します。
最近やり始めた趣味はゴルフと筋トレ。
お客様の「困った」を解決し、笑顔にするのが私の仕事です。
【保有資格】かわらぶき技能士・ 増改築相談員/ 【趣味】ゴルフ・筋トレ
【名古屋市港区】と同じ地域の現場施工事例
各地域での点検やメンテナンスを行ったブログ記事

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