名古屋市南区【屋根葺き替え】既存瓦を再利用する葺き直しで費用を抑え！全数釘打ちと南蛮漆喰で地震に強い屋根へ！

writer by ヤマムラ建装株式会社　代表取締役　山村康輔

名古屋市南区で屋根葺き直し完工！既存瓦の全数釘打ちと南蛮漆喰で耐震性を高めた職人技を公開

名古屋市南区の現場より、屋根リフォーム完工レポートです。
下地補強を終え、大切に保管していた既存瓦を再び屋根に戻す「葺き直し」の仕上げ工程へ。
見た目の風合いはそのままに、昔ながらの土葺きから最新の「全数釘打ち工法」へアップデートすることで、地震や台風に強い屋根を実現しました。
鬼瓦の固定や漆喰の使い分けなど、プロのこだわりが詰まった完成までの様子をお届けします。

前回の現場ブログはこちらから読み戻れます↓↓↓
『名古屋市南区【瓦施工前準備】厚さ12mmの野地板合板で雨漏りに強い頑丈な屋根下地補強！防水紙と桟木施工で軽量化！』
初動調査でもあるこちらの現場ブログの一番始まりはこちらから読めますよ↓↓↓
『名古屋市南区【屋根現地調査】大雨で2階が雨漏り？原因は瓦の沈下と屋根下地の腐食！狭小地でも安心３割だけの部分補修』

【名古屋市南区】屋根リフォーム完成間近！補強した屋根に既存瓦を戻す「葺き直し」工程

名古屋市南区の現場より、屋根リフォーム工事の進捗レポートをお届けします。
前回までは、雨漏りの原因を取り除き、新しい野地板合板で屋根全体をガッチリと補強する「下地作り」の工程を中心にお伝えしてきました。
見えない部分の強化が完了し、いよいよ工事も後半戦。
今回は、足場の上に大切に保管していた既存の屋根瓦を、再び屋根の上へと戻していく「葺き直し（ふきなおし）」の仕上げ作業についてご紹介します。

まずは、解体時に一枚ずつ手渡しで足場の作業床（ステージ）へと移動させ、破損しないよう慎重に管理していた瓦たちの出番です。
これらを職人が再び屋根の上へと運び込み、先ほど取り付けた「桟木（さんぎ）」と呼ばれる横木に引っ掛けるようにして、丁寧に並べていきます。

以前の屋根は大量の土で瓦を固定していましたが、今回のリフォームでは土を使わず、桟木に釘で瓦を固定する「引掛け桟瓦葺き工法」を採用しています。
これにより、屋根全体の重量が大幅に軽くなるだけでなく、瓦が一枚一枚ロックされるため、地震や台風の揺れでもズレにくい強固な屋根へと生まれ変わります。

既存の瓦を再利用するため、建物の持つ馴染み深い風合いや外観の雰囲気はそのままに、屋根の内部構造だけが最新の強度を持つ状態へとアップデートされました。
一枚ずつ噛み合わせを確認しながら隙間なく葺き上げていく作業は、まさに熟練職人の腕の見せ所です。
古い瓦であっても、下地さえしっかりしていれば、まだまだ大切なお住まいを守る現役の屋根材として活躍してくれます。
廃材を減らし、コストを抑えつつ強度を高める「葺き直し工事」も、いよいよ完成が見えてきました。

なぜ古い瓦を再利用するの？部分修理で既存瓦を使うプロの理由

足場の作業床にて、割らないように大切に保管しておいた既存の屋根瓦がいよいよ出番を迎えます。
今回のような「部分的な葺き直し工事」において、なぜ新品ではなくあえて既存の瓦を使うのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、これにはプロならではの明確な理由があります。
築年数が経過したお住まいでは、当時使われていた瓦がすでに廃盤になっており、現在流通している新品とはサイズや形状が微妙に異なるケースが少なくありません。

もし、屋根全体を交換するのではなく一部だけを直す場合に、無理に規格の違う新しい瓦を混ぜてしまうとどうなるでしょうか。
手を加えていない隣接する屋根部分との噛み合わせが悪くなり、見た目に違和感が出るだけでなく、その隙間が新たな雨漏りの原因になってしまうリスクがあるのです。

だからこそ、既存の瓦を丁寧に再利用し、パズルのように境界線をピタリと合わせることが、最も美しく、かつ雨に強い屋根に仕上げるための最善策となります。
もちろん、こうした施工方針については事前にお客様へしっかりとご説明し、そのメリットをご納得いただいた上で作業を進めております。
古い瓦は単なる廃材ではなく、その家の屋根に最も馴染む重要な資材なのです。

縦一列に並べる伝統技法！全数釘打ちで地震に強い屋根へ

下地工事が完了し、いよいよ既存の瓦を屋根に戻していく取り付け作業に入りました。
まずは、今回解体しなかった既存の屋根部分との境界から、高さを合わせるように慎重に施工をスタートします。

最近の洋風住宅でよく見る平らな瓦（平板瓦）は横一列に並べていくのが主流ですが、今回のような日本独自の「和瓦」の場合は、軒先から棟に向かって「縦一列」ずつ積み上げていくのが基本の施工方法となります。
この縦のラインを美しく通すことこそが、和瓦の美観と雨仕舞いを高めるポイントです。

掲載した写真で、瓦が斜めのラインで並んでいる様子がご確認いただけるかと思いますが、これは単なるデザインではありません。
実は、昔の瓦には釘を通す穴が開いていないため、専用の電動工具を使って一枚ずつ丁寧に穴あけ加工を行い、そのすべてにステンレス釘を打って固定している作業の途中経過です。

昔ながらの「土で固定する工法」から、現代の「釘で固定する工法」へとアップグレードすることで、地震や強風でも瓦がズレたり落下したりしない強固な屋根になります。
あえて斜めのアングルで撮影したのは、すべての瓦にしっかりと釘が打ち込まれていることを、後ほどお客様に写真台帳としてご報告し、安心していただくための証拠でもあるのです。

強風対策の要！ケラバ袖瓦の取り付けと棟納めの職人技

屋根の平らな部分の施工が順調に進み、続いて建物の妻側（側面）の端にあたる「ケラバ」と呼ばれる部分の仕上げ作業へと移りました。
この場所は、屋根の中でも特に風の抵抗を強く受ける箇所であり、雨水の吹き込みも起きやすいため、非常に慎重な施工が求められます。

今回は、軒先（下）から屋根の頂点である陸棟（ろくむね）に向かって、端専用の「袖瓦（そでがわら）」を一枚ずつ強固に固定しながら積み上げていきました。
一直線に並んだ美しいラインは、建物の輪郭を際立たせる重要なアクセントにもなります。

そして、屋根の頂点部分に到達したところで、職人の技が光る重要な加工を行いました。
このケラバの最上部には、最終的に雨の浸入を防ぐための「冠瓦（かんむりがわら）」という半円状の瓦を被せることになります。
その冠瓦が反対側の屋根と綺麗に繋がり、ガッチリと固定されるように、一番端の袖瓦とその隣にある平瓦の形を現場で微調整し、カット加工を施しました。

さらに、ただ形を合わせるだけでなく、後から冠瓦を縛って固定するための「針金（緊結線）」をあらかじめ瓦の内部から出しておく仕掛けも行っています。
この見えない下準備こそが、台風などの強風でも飛ばない強い屋根を作るための秘訣なのです。

雨水の浸入をシャットアウト！ケラバを覆う「冠瓦」の固定作業

ケラバ袖瓦の積み上げが完了し、いよいよ屋根の端部分の最終仕上げに入りました。
袖瓦と平場の瓦との境界線にはわずかな隙間が生じますが、ここから雨水が入り込まないよう、「冠瓦（かんむりがわら）」と呼ばれる半円筒状の瓦を上から被せていきます。
この作業は、水が上から下へとスムーズに流れる原理に従い、屋根の先端である軒先（下）から頂点（上）に向かって、一本ずつ丁寧に重ね合わせながら取り付けていきます。
こうすることで、継ぎ目からの雨の逆流を防ぐことができるのです。

そして、ここで活躍するのが、前回の工程であらかじめ屋根の下地から出しておいた「固定用の針金（銅線やステンレス線）」です。
冠瓦をただ載せるだけでは強風で飛ばされてしまう危険があるため、一本設置するごとに、この針金を使って屋根本体と冠瓦をガッチリと縛り上げていきます。

見えない内部からしっかりと結束することで、台風などの激しい風にも負けない強固な屋根端部が完成します。
見た目を美しく整えるだけでなく、防災面でも非常に重要な役割を果たす工程ですので、緩みがないよう全力で締め込みを行いました。

鬼瓦を据える！地震や強風に負けないプロの固定技術

ケラバ部分の冠瓦（かんむりがわら）がきれいに納まったところで、いよいよ屋根の顔とも言える「鬼瓦（おにがわら）」の設置作業に入ります。
先ほどまで行っていた冠瓦の取り付け作業は、実はこの鬼瓦を正しい位置に美しく座らせるための重要な土台作りでもありました。
鬼瓦は屋根の中でも特に重量があり、先端に位置しているため、万が一にも落下することが許されない部材です。
そのため、ただ単に上に載せるのではなく、見えない部分で徹底した落下防止対策を施すことが不可欠となります。

その固定方法として、私たちは屋根の骨組みとなる「棟芯（むねしん）」からあらかじめ引っ張り出しておいた、複数本をより合わせた強靭な針金（銅線やステンレス線）を使用します。
この太くて強い線を、鬼瓦の背面に設けられた専用の穴に通し、緩みが一切出ないよう強烈な力で縛り上げて完全に固定します。
こうして建物の構造部分と鬼瓦を直接結びつけることで、台風の強風や地震の揺れが来てもビクともしない、強く逞しい屋根が完成します。
装飾としての美しさだけでなく、現代の防災基準もしっかりと満たした確実な施工を行っておりますので、どうぞご安心ください。

白と黒の使い分け！南蛮漆喰で頑丈な土台を作る職人の知恵

鬼瓦の設置が完了し、いよいよ屋根の最上部である「棟（むね）」を築き上げていく作業に入ります。
ここでは「熨斗（のし）瓦」という短冊状の瓦を何層にも積み重ねていくのですが、実は私たちは使う「南蛮漆喰（なんばんしっくい）」の色を適材適所で使い分けています。

まず、全ての荷重がかかる一番下の段には「白い南蛮漆喰」を使用します。
ここは完成後に「三日月」と呼ばれる美しい白いラインとして外から見える部分であり、かつ棟全体を支える基礎となるため、少し硬めに練った漆喰を厚めに盛り付け、どっしりとした揺るがない土台を作ります。

その強固な土台の上に一段目の熨斗瓦を据え付けたら、二段目以降の内側には「黒い南蛮漆喰」へと切り替えて施工を進めます。
瓦の内部に入り込む見えない部分には、接着力と防水性に優れた黒漆喰をたっぷりと充填し、瓦同士を強力に一体化させていきます。

このように、外観の美しさを引き立てる「白」と、内部で強度を保つための「黒」を適切に使い分けることで、雨風に強く、崩れにくい美しい棟が完成します。
見えない内部までこだわり抜いた施工で、お客様の屋根を長く守り続けます。

【屋根工事完了】冠瓦をガッチリ固定！最後は来た時よりも美しく清掃して終了

積み上げられた熨斗（のし）瓦の上に、屋根の最頂部を飾る「冠瓦（かんむりがわら）」を一列に並べ、いよいよ工事もクライマックスを迎えました。
ここで重要になるのが、あらかじめ屋根の内部から引き出しておいた固定用の金属線です。
この線を使って、新しく積み上げた棟全体を一本の帯のようにガッチリと縛り上げることで、地震や台風の揺れにも動じない強固な屋根が完成しました。
これで既存の瓦を再利用した「葺き直し工事」の全工程が無事に終了です。

工事が終わったからといって、すぐに撤収するわけではありません。
屋根の上に持ち込んでいた電動工具や余った材料をすべて地上へ降ろした後、私たちは最後の仕上げとして入念な清掃を行います。
作業中に発生した細かな埃や塵をブロワーを使って吹き飛ばし、屋根の上を工事前よりも綺麗な状態に整えるまでが私たちの仕事です。

こうして美しく生まれ変わった2階の屋根は、これからまた何十年とお客様の暮らしを守り続けてくれるはずです。
完璧に仕上がった屋根を後にし、次は足場の解体へと進みます。

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『名古屋市南区【リフォーム工事】足場解体後の棟瓦も補修！腐食した屋根も再生し作業写真をまとめた完了報告書で安心をお届け』